日本パステル畫（が）事始め展

　パステルに魅せられて多くの作品を残した2人の近代日本画家、矢崎千代二と武内鶴之助を中心に紹介。

　本展は、美しい直接的な発色、乾燥時間のない速写性という二つの大きな特色にくわえて、時に儚ささえ思わせる豊かな中間色の美しい発色や独特の「風合い」を兼ねそなえるパステルという画材の魅力を多角的にひもとく。

　　豊かで繊細な色彩を緻密な作品の中に活かしきった武内、世界各地のいきいきとした情景を、速写を武器に描いた矢崎。パステルへの取り組みは異なるが、それぞれ研究や探求を重ねて生み出した多彩な表現は、パステルという画材の幅広さと奥深さを如実に示している。

　矢崎と武内の多彩な表現の魅力を示す作品を厳選する本展では、2人がヨーロッパのパステル画に学び、念頭に置きつつ、それぞれ個性的なスタイルを確立していく過程をたどる。
　また、並行して行われたパステル普及活動と関連付けながら、画材としてのパステル研究と国産化の道程も概観する。