EXHIBITIONS

ジェスパー・ジャスト展「Seminarium」

2021.12.01 - 2022.01.29

Jesper Just, Seminarium(2021), Perrotin Tokyo. ©Jesper Just; Courtesy of the artist and Perrotin. Photo: Keizo Kioku

Exhibition view of Seminarium(2021), Perrotin Tokyo. ©Jesper Just; Courtesy of the artist and Perrotin. Photo: Kei Okano

 ペロタン東京で、デンマーク人アーティスト、ジェスパー・ジャストの日本初個展「Seminarium」が開催されている。

 ジャストは1974年生まれ。現在ニューヨーク在住。映像作品とマルチ・プロジェクションによるビデオ・インスタレーションで知られ、2013年には第55回ヴェネチア・ビエンナーレにデンマーク代表として参加。国際的に評価され、世界各地での個展や展覧会で作品が展示されている。

 本展では、ジャストによる2つの作品シリーズ「Seminarium」と「Interpassivities」を再構成し、空間や鑑賞者との新たな対話を生み出す。

「Seminarium」は、近年制作された4つの映像作品がギャラリー全体に広がる、トータル・インスタレーション。鑑賞者を作品の一部として、紫色に発光する身体や、浮遊する女性との親密で官能的な出会いをつくり出し、展覧会場に響き渡る女性の声は、あたかも身体を最適化する商品のCMナレーションを思わせる。

 作品タイトル「Seminarium」はラテン語に由来し、元来「苗床」を意味するが、転じて新しい知識や認識をはぐくむ教育機関を指す言葉。「超植物」や「超身体」の培養を試みる人間の永久的欲求という、自然を自在に操り、強制的に特定の形状や特性を持たせる様を示唆する「Seminarium」のように、ジャストのトータル・インスタレーションは、社会文化的な言及の背景にある発想を、植物とビデオ・スクリーンによる精巧な「彫刻的生態系」のなかに取り入れている。

 本展はさらに、2つ目の部屋へと続き、鑑賞者はパフォーマンス・シリーズ「Inter-passivities」によって、一連の静止画に出会う。ジャストはこの現在進行中のシリーズで、バレエの形式言語を用いて理想化されたかたちの身体と破壊されたかたちの身体について論じるとともに、主体性、遂行性、相互受動性といった概念を探求する。