EXHIBITIONS

大城夏紀「風景とファンタジー」

2021.11.25 - 12.26

大城夏紀「風景とファンタジー」より 写真提供=西山功一

  NADiff Window Galleryでは、作家・大城夏紀の個展「風景とファンタジー」を開催している。12月26日まで。

 大城は現在、川崎市のアトリエを構えて制作。早稲田大学第二文学部卒業、阿佐ヶ谷美術専門学校を経て、2012年東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修了。18年11〜12月まで、シェル美術賞第1回レジデンス支援プログラムによるパリ(Cite international des arts)に滞在し、ここでの制作をきっかけに近年は自作の模様を取り入れた絵画を空間的に展開する試みを行う。

 抽象的で穏やかな色彩やかたち、作品の空間構成が特徴的な大城の作品は、ものの名前や構造、ルールの存在への意識を再定義するというテーマで制作されており、これまでに工業製品や駅、庭園、和歌や詩をモチーフとした作品を発表。日本庭園の見立ての手法をきっかけに、制作過程においてモチーフを厚紙で見立てたり、ドローイングしたり、異素材を取り入れるといった過程を経て、モチーフのかたちを解体・再構築することで、ものの構造や認識の境界線を模索してきた。また文学的風景に着目しながら、万葉集の和歌における視点の動きをモチーフにした絵画・立体作品を発表している。

 本展では、和歌原文のリズムを作品に組み込むとともに、かつて富山県氷見市に存在し、万葉集の和歌の舞台にもなった潟湖「布勢の水海」をキーワードに、和歌を繰り返すことで形式化する立体・絵画作品を試みる。