EXHIBITIONS

キュレトリアル・スタディズ15

八木一夫の写真

クリスマスの後に 1961 撮影=八木一夫

正月に大風邪をひく辻晉堂氏 1962 撮影=八木一夫

清水寺にて 1962 撮影=八木一夫

 京都国立近代美術館の研究の成果を発表する「キュレトリアル・スタディズ」シリーズの今回は、陶芸家・八木一夫の知られざる写真作品を取り上げる。

 前衛陶芸家集団の走泥社の一員として戦後の陶芸界を牽引した八木一夫(1918〜1979)。その活動は、2004〜05年に全国を巡回した「没後二十五年 八木一夫展」などを通して様々に紹介されてきた。しかし、八木が1960年代の前半から中期にかけて意欲的に写真を撮っていたことはあまり知られていない。

 本展は「八木一夫の写真」と題して100点の八木の写真を初めてまとめて公開し、知られざる作家の一面を紹介する。

 何気ない日常やいまでは懐かしい日本の風景、辻晉堂ら仲間の姿をカメラに収めた八木。残されている膨大な数の写真からは、陶芸家としての経験に基づく対象に向けた優しさや、ユーモアあふれるまなざしをはっきりと感じることができる。

 なお展覧会の開催にあわせて写真集『カメラを手にした前衛陶芸家 八木一夫の写真』を、京都国立近代美術館1階ミュージアムショップおよび通販にて発売。関連作品を含む約220点を掲載した写真集は「京都散歩」「旅先」「紀行」「自作」「家族の肖像」の5つの章から構成され、「紀行」には、現存する八木自製の写真集(スクラップブック)に残された人間味あふれる言葉が添えられる。