EXHIBITIONS

ソワマドゥ・イブラヒム「Farewell Savane」

2021.11.04 - 12.18

ソワマドゥ・イブラヒム Better late than never 2021

ソワマドゥ・イブラヒム MP3 files 2021

ソワマドゥ・イブラヒム Jardin next door 2021

ソワマドゥ・イブラヒム A slice of quietness 2021

ソワマドゥ・イブラヒム Road to Yamoussoukro 2021

 故郷へのノスタルジーやコミュニティの絆を描くアーティスト、ソワマドゥ・イブラヒムの国内初となる個展「Farewell Savane」がKOTARO NUKAGA(六本⽊)で開催。新作ペインティング21点が展⽰される。

 イブラヒムは1989年フランス⽣まれ。10歳までコモロ諸島最⼤の島・ンジャジジャ島で過ごし、現在はロンドンを拠点に活動。コモロ諸島で離れて暮らす祖⽗⺟ら家族や親戚を描き、コミュニティや家族の絆の強さを表現している。また⾃⾝の「フランス⼈らしさ」とコモロ諸島がフランス占領下にあった過去との関係を通して、⼈種や歴史について問い直している。

 バナナや椰⼦の⽊が⾄る所に⽣い茂る美しい島で社会経済学的な視点からのコミュニティ連携の強さ、複雑な⼈種問題へのまなざしが養われたというイブラヒム。アフリカに根ざした⾃⾝のルーツの寄りどころのなさがベースになっている絵画には、旅⾏中やふとした時に⾃⾝で撮影した、コモロ諸島の家族や友⼈など、⾝近な存在の⼈々が登場する。これらのアーカイヴ写真に、⾃⾝の記憶や時に想像を交えて絵画を描くことで、誰もが持つ故郷へのノスタルジー、普遍的な家族への愛情やコミュニティの絆を表現している。

 本展の中心となる《Better late than never》は、イブラヒムの叔⽗が病気で亡くなる⺟に別れを告げに、コモロへ帰郷する時を描いた作品。叔⽗は⺟の最期を看取ることはできなかったが、本作のタイトルには「さようならを⾔うのに遅すぎることはない」という意味が込められてており、たとえどんなに離れていても駆けつけようとするその気持ちや⾏為こそが重要であるという作家のメッセージを伝える。

 イブラヒムは、「⾝近な⼈々の⼈⽣の、あらゆる場⾯を描写したポートレイトとコモロ諸島の美しい⾵景、時にはその⼈らしさを補完する背景や持ち物を想像上で組み合わせることで、⼈⽣のシンプルな喜びを⾒出す豊かさを表現したい」と⾔う。