EXHIBITIONS

荒木悠「Bivalvia: Act I|双殻綱:第一幕」

2017.09.16 - 10.28

© Yu Araki 2017

© Yu Araki 2017

© Yu Araki 2017

荒木悠 新作映像より © Yu Araki 2017

荒木悠 新作映像より © Yu Araki 2017

 ある事物が他の土地へと伝播し、その過程で生じる変容や誤訳を伴いながら根付いていった物語に大きな関心を寄せる荒木悠。主に映像を媒体とする過去の作品群は、自身が訪れる場所との関係性を出発点に、個人的な発見を大文字の歴史や既存の文脈に編み込む手法によって構成されている。

 ここ数年の荒木の作品には、越境する文化的象徴として「食べ物」が頻繁に登場。彫刻を学んだのち映像制作を始めた作家は、食文化もいわば複製・再現が可能なフォルムであり、様々な土地の食材や食文化を通じて発見した固有性や差異を独自の解釈で「翻訳」し、虚実を交えた物語を発表してきた。

 今後、シリーズとして展開していく予定の「Bivalvia」の一幕目となる本展では、スペインと韓国で撮影した新作映像と写真を中心に展示。カキの殻に着想を得たそれらの作品では「殻の間の空間」をメタファーにしつつ、「中身(具)」ではなく、徹底的にその「周縁(殻)や表面(彫刻)」にフォーカスした物語り方の創出を試みる。