EXHIBITIONS

art space “traffic” presents

テセウス・チャン「BEAUTIFICATION OF ALIENS(お洒落なエイリアン)」

art space “traffic”
2021.10.21 - 12.13

BEAUTIFICATION OF ALIENS_9 © Theseus Chan

BEAUTIFICATION OF ALIENS_1 © Theseus Chan

BEAUTIFICATION OF ALIENS_3 © Theseus Chan

BEAUTIFICATION OF ALIENS_15 © Theseus Chan

BEAUTIFICATION OF ALIENS_10 ©︎ Theseus Chan

 シンガポールを代表するアートディレクター、テセウス・チャンの個展「BEAUTIFICATION OF ALIENS(お洒落なエイリアン)」が開催。初の試みとして、自身が描く新作ファッション・ドローイングのみで構成した展覧会となる。

 チャンは、ヴィジュアル・アートと印刷媒体を中心に活動。「素材に制限はなく、技術に不可能はない」という持論に基づき、廃棄処分対象の安価なものからもっとも高価で豪華なものまで、あらゆる品質・形態の用紙や段ボールを使用し、オフセット印刷、スクリーン印刷、リトグラフ、アクリルインクジェットなどの印刷方法と組み合わせて独創的な作品制作を続けている。

 自身が発行する雑誌『WERK(ヴェルク)』は、既存のブックデザインへの破壊的挑戦として知られており、2006年にシンガポールでもっとも栄誉あるデザイン賞「プレジデンツ・デザイン・アワード」にてデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、これまで受賞多数。東京2020オリンピックでは公式アートポスターに参加している。

 本展で公開される「BEAUTIFICATION OF ALIENS(お洒落なエイリアン)」は、テセウス・チャンが温めてきたファッション・ドローイングのシリーズ。ドレスをまとい、飾り立てられたエイリアンたちは、まるでランウェイを闊歩するモデルを思わせる。

 テセウスは言う。「私たちは往々にして他者に対して表層的なバイアスを持って接します。他者に好感を持つには、要するに見た目が仲間らしければいいのだと。でも、ドレスの中身がエイリアンだったら…?」。また次のように述べている。

「『BEAUTIFICATION OF ALIENS(ビューティフィケーション・オブ・エイリアンズ)』は、人間性、外国人恐怖症、社会的差別といったテーマを表現するシリーズです。私たちには、「自分たちの一員のように見えさえすれば他人を受け入れる」という傾向があります。このような浅薄な事態をもたらすのは、私たちのバイアスです。私たちは、お互いへの愛や容認や敬意に反しても、こうした偏見を擁護し、正当化さえするのです」。

 本展は、今後も進化を続けるという、テセウスにとって重要なテーマを持つシリーズの第1弾。会場では、「なかなか会えなくなった日本の友人たち」を想いながら、コースターに描いた74枚の小品も展示・販売する。