EXHIBITIONS

松蔭浩之「LUST」

松蔭浩之展「LUST」 イメージビジュアル Courtesy of Mizuma Art Gallery

 近年、映像やインスタレーション、バンド活動など表現媒体の垣根を越えた活動を展開している松蔭浩之。他方、この数年にわたり、フリーペーパー『BLUE NOTE TOKYO Jam』にてJAZZ界のレジェンドと称されるミュージシャンたちを50名以上、また週刊『女性自身』では日本の文化人はのべ300名以上と、継続的に「肖像写真」を撮影してきた。

 急速に進行するグローバリゼーションと引き換えに、人間の大きなロマンが消失、そしてインターネットやSNSを通して人間の欲望の在り方そのものが変わってきたと松蔭はとらえる。そんな松蔭が「LUST」と題した本展において、デビュー当時から撮り続けている女性の肖像写真にありうるべき未来を多面的に投影、その欲望の根源を映した圧倒的な美しさを表現する。

 また、ギャラリー奥の和室と小展示室においては「松蔭浩之展:Early Days」を同時開催。表現の可能性を探りながらシャッターを切り続けた高校・大学時代の松蔭の視線の先には何が見えていたのか、当時の貴重な写真や資料の数々が展示される。

 ふたつの展示を通して、松蔭が何故肖像写真にこだわり続けるのか、写真を通して何を表現しようと試みているのか、30年にわたる作家の「LUST」を見ることができる。