EXHIBITIONS

前竹泰江 展 ピカルディの3度

前竹泰江 表象の大気 I 2021

 ニューヨークを拠点とする現代美術家・前竹泰江の個展「ピカルディの3度」がMITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYで開催される。

 前竹は東京都出身。日本とチェコ共和国でガラス工芸を学び、ニューヨークに移る。2006年コロンビア大学芸術学部美術学科修士課程修了。和紙、金属、骨、木の技、ガラスなど様々な素材をミックスした彫刻作品は未視感であり、パワフルかつ繊細な彫刻、詩情的な映像作品など、独自の力強い美観を湛えた作品は国内外で高い評価を得てきた。

 これまで前竹は米国内外にて作品を発表し、様々なパブリック、プライベートコレクションに作品が収蔵されている。文化庁新進芸術家海外派遣制度にてガーナのEl Anatsuiスタジオでレジデンシーも行い、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ企画展にも参加。ArtAsia Pacific、Artforum、The New York Timesなどの主要メディアにも多数取り上げられ、近年では「革新的な女性彫刻家20人」として、世界最大のオンラインアートマーケットプレイスArtsyによる批評総括で紹介された。

 日本橋三越では初となる本展では「ピカルディの3度」と題し、物質の自然治癒力を見越して制作された、彫刻作品、インスタレーション約25点を中心に展示。前竹の手により分解され、再構築された様々な素材は物質的変化による錆、緑青などの色彩も加わり、繊細さと力強さの両義性をかねそなえた新たな表情に変容している。それら作品の革新的でイノセントな表現は鑑賞者を魅了する。