EXHIBITIONS

上野裕⼆郎 個展「Surge / 渦動」

上野裕⼆郎 渦動 2021

 上野裕⼆郎の個展「Surge / 渦動」が銀座 蔦屋書店アートウォール・ギャラリーで開催される。気鋭アーティストを特集する展覧会シリーズ「銀座 蔦屋書店ART PARTY」の11回⽬。

 上野は1996年京都府⽣まれ。2019年に沖縄県⽴芸術⼤学美術⼯芸学部絵画専攻(油画)を卒業、21年に東京藝術⼤学⼤学院美術研究科芸術学専攻美術教育研究室修⼠課程を修了。「万物は流動的存在として常に相互に影響を及ぼし合っている」という観念に基づく、東洋思想の「気」に着⽬しながら、⿃獣などの⽣物をモチーフに絵画を制作している。ターナーアワードをはじめ数々の展覧会に参加・受賞し、今後が注⽬される若⼿作家のひとりだ。

 本展では、⿓や鳳凰をモチーフとした新作を発表。筆のストロークだけでなく、⾊⾯をレイヤーとして⾒せ、また新たにたらし込みの技法を取り⼊れている。いっぽう⼩作品では、筆のストロークのみを⾒せる新たな試みも⾏うなど、上野の新境地が伺える内容となる。

 これまでは実在の動物を中⼼に描いてきたなかで、修了制作以降、⿓を中⼼とした架空の⽣物を意識的に描くようになったという上野。「動物の⽣命感」といったわかりやすい⾔葉に収斂する絵から抜け出し、より複合的な観念を提⽰し、また⼈間が太古から想像し描いてきた普遍的な⿓というイメージを、上野⾃⾝のやり⽅で表現する。

「Surge(うねり、渦、⼤波、沸き⽴つ)」は、ラテン語では「上⽅に向かって⽴ち昇る」の語源を持つ。循環する「渦」は、上野の制作のテーマである、⽣物や外界の揺らぎ、また、より⼤きな物質や時間の流れを表現するうえで、重要なイメージのひとつだ。⾃然界の混沌や渦巻くような⼒の象徴として⿓を描くことで、現代の時代性を反映した新しさと、時代や場所を超えた普遍性の両⽅を併せ持つイメージに到達することを意図している。

 本展の作品は10⽉16⽇ 13:00より、銀座 蔦屋書店店頭およびオンラインストア「OIL by 美術⼿帖」にて販売される。