EXHIBITIONS

石塚源太 + 西條茜 by ARTCOURT Gallery

2021.09.29 - 10.17

左から、石塚源太《感触の表裏 #25》(2021)、西條茜《コキイユ-Coquille-》(2019)

西條茜 沈黙と誘惑 2021

西條茜 沈黙と誘惑 2021

石塚源太 感触の表裏(on wall)#3 2021 撮影=来田猛

石塚源太 感触の表裏(on wall)#6 2021

 漆と陶、それぞれの素材技法のうえに、自身の身体感覚を重ねあわせた造形表現で注目を集める作家、石塚源太と西條茜の新作展がCADAN有楽町で開催されている。大阪・桜ノ宮を拠点とするARTCOURT Galleryによる企画。

 石塚源太は1982年京都府生まれ。2008年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻漆工修了。伝統的な漆芸を用いた抽象造形により、漆の「皮膜」を境に行き交う意識や感覚を探求する。「感触の表裏」のシリーズでは、伸縮性の布に球体の発泡スチロールを詰め、凹凸が連なる三次曲面を乾漆技法で仕上げ、漆に宿るつやを発露させている。

 西條茜は1989年兵庫県生まれ。2014京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器分野修了。表面のリアリティに対し内部は空洞であるという、陶造形の構造プロセスに虚構性を見出し、史実や私的体験に基づき作品世界を物語的に構築している。

 両者はともに京都を拠点に活動し、2019年には金沢で開催された世界工芸トリエンナーレの企画展「越境する工芸」に出品、また数々の賞を受賞するなど、工芸と現代美術をクロスオーバーする新鋭として、今後の展開にさらなる期待が寄せられている。緩やかな曲面フォルムにみずみずしい質感をまとう2人の作品は、その表面から内部への意識を誘い込む。

 石塚は漆という素材を起点に現象と思考を重ね合わせ、西條は陶の構造プロセスへの批評をポジティブに物語化することで、様々な感触で表面と内部、作品と空間をひとつにつなぎ、造形を媒介に生まれる人と人、人とモノとの新たな関係性に大きな関心を寄せている。

 本展では、ミステリアスに人々を引き寄せる2人の作品世界を身体になぞらえ、「皮膜と内臓」をキーワードに新作の数々を紹介する。

 石塚は「皮膜とその隔たり」をテーマに、半立体の大型作品をはじめ、内部の質感を表面に露出させた新展開の作品も発表。いっぽう西條は、身体と内部共鳴し音を鳴らすことができる体内器官のような造形を配置し、自と他の境界線が曖昧になる瞬間をつく出す。