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EXHIBITIONS

クリスティーナ・ルカス 映像展「次の世界へ〜Vers l’autre Monde」

2021.10.01 - 10.10

クリスティーナ・ルカス La Liberté Raissonée 2009 Courtesy of Galeria Albarran Bourdais, Madrid

 10月1日に京都市内各所で開催される現代美術の祭典「ニュイ・ブランシュ KYOTO 2021」。京都芸術センターでは本祭にあわせ、スペイン出身のアーティスト、クリスティーナ・ルカスによる2つの映像作品を公開する。

 また、展示オープンの10月1日19時よりビデオ通話を介して作家本人を迎え、トークイベントを実施。聞き手に京都国立近代美術館主任研究員の牧口千夏を招き、京都芸術センターの講堂を会場に、対面形式によるトークを行う。

 クリスティーナ・ルカスは、映像、パフォーマンス、絵画、インスタレーションなどの様々な表現方法を用いて、現状の社会構造に対する独自の目線から作品制作を行うアーティスト。政治や経済に立脚した既存の社会機構を解体し、固定された視点から語られる歴史や現実性、集合的記憶に新たな可能性を投げかける。その作品は、バルセロナのピカソ美術館やルクセンブルクのジャン大公近代美術館(MUDAM)など、多くのギャラリーや美術館で展示、注目されている。

 本展は、欧州地中海文明博物館がキュレーションを担当。2013年にマルセイユに開館した同館は、地中海、とりわけヨーロッパとの関係における地中海世界の理解を促すことを使命とし、古代の遺物から現代美術の作品まで幅広いコレクションを有している。本展で公開されるルカス《La liberté raisonnée》(2009)は同館の所蔵作品のひとつであり、加えて、最新作《The People That Is Missing(El Pueblo Que Falta)》(2019)も紹介する。

《La Liberté raisonnée》は、ルカスがウジェーヌ・ドラクロワがたった3か月(1830年10~12月)で描いた《民衆を導く自由の女神》を再解釈した映像作品。ルドラクロワの絵画とその蜂起の描写をよみがえらせ、同時に脱構築した同作品は、絵画によって不滅のものとなった瞬間の前後に起きたことを映し出す。

 いっぽう《The People That Is Missing (El Pueblo Que Falta)》は、タイトルをパウル・クレーの言葉から引用し、アレクサンダー・フォン・フンボルトやジェームズ・ラブロック、ドナルド・トランプやブルーノ・ラトゥールといった多数の思想家や政治家たちの、しばしば矛盾した言説の引用からなる詩を映像にしたもの。ノルウェーの北端にあるスヴァールバル諸島で撮影され、気候変動がもっとも顕著な北極という厳しい状況下にある場所から、現代における喫緊の問題を取り上げる。