クリスチャン・プーレイ「Distance」

　Gallery 38では「 Distance 」と題し、クリスチャン・プーレイにとってアジア初となる個展を開催する。会期は11月14日まで。

　プーレイはチリ出身の画家。その作品は、作家自身の場所の探求に深く根差しており、同時に自身の出身地であるチリ南部のアラウカニアの複雑さについても写し出している。

　今回のシリーズにおいてプーレイは、物理的なつながりがないなかで、テクノロジーを使っていかに人間関係を構築していくかという点に焦点を当てている。それと同時に、パンデミックの継続的な影響についても言及している。

　プーレイの多くの作品には優しさや憧れが感じられるが、決してロマンチシズムやノスタルジーを表現した作品ではなく、鮮明で具体的なディテールと抽象的な要素のバランスが、心地よい緊張感と少し不穏な雰囲気を持つ。鮮やかで親密な記憶の片鱗が消えていく過程で途切れているような、緊張感がありながらも心に残る美しさが表現されている。