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中嶋浩子「CONTINUUM|この世界を構成するもの」

中嶋浩子 Hilbert curve 2021 © Hiroko NAKAJIMA

 ポーラ美術館のアトリウム ギャラリーで若手芸術家を紹介する「HIRAKU Project」。12回目の開催となる今回は、世界を独自に解釈し、幾何学的連続模様(パターンデザイン)を用いて空間を再構成・表現するアーティストの中嶋浩子を迎える。

 中嶋は東京都出身、武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業。2014年より公益財団法人ポーラ美術振興財団若手芸術家在外研修員として、ゲッティンゲン大学数理科学研究科(ドイツ)およびフィンランド自然史博物館(フィンランド)にて研修。以降、公益財団法人野村財団在外研修員(美術)での研究滞在を経て、東京を拠点に活動を展開している。

 中嶋は、連続する自然現象や一定の条件のもとで起こる事象を、数学的公理(ある理論の出発点となる仮定のこと)や概念から生まれる、人工的な幾何学模様へと再構築して「CONTINUUM:連続体」として表現。それら幾何学的な厳密さと感覚のリズムを重ね合わせることで、独自の新たな視覚表現をつくり上げている。

 今回の展覧会のタイトル「CONTINUUM|この世界を構成するもの」は、作家自身が幼少期から漠然と抱いてきた、「この世界を構成しているものとはなんだろう?」という問いに由来したもの。そしてこの問いを制作のコンセプトとしてきた中嶋は「見えないけれど、確かに在る連続する世界(空間)」を証明するもののひとつとして、数学の空間充填曲線(平面や空間の一部分を埋め尽くす曲線)を空間に展開した作品にたどり着いた。

 本展では、開放的なアトリウム ギャラリー全体を、線の連続からなる模様で埋め尽くし、規則的かつ感覚的に構成された「連続する形」を、新作インスタレーションとして発表。線の模様に加えて、かたち、色、線などによって表現された連続体の一部をクローズアップした平面作品と立体作品が、別の次元を行き来しながら連続した空間を構成するための要素(ピース)として会場に配置される。