EXHIBITIONS

KAAT EXHIBITION 2021

志村信裕展|游動

KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
2021.09.09 - 10.08

志村信裕 光の曝書(メンデルスゾーンの楽譜) 2020
朝香宮家旧蔵の楽譜に映像投影、サイレント
Photo by Mie Morimoto

 新進気鋭の映像美術作家・志村信裕が新作個展「游動」を開催する。本展はKAAT神奈川芸術劇場の劇場空間と現代美術の融合による新しい表現を展開する「KAAT EXHIBITION」シリーズの6回目。

 志村は1982年東京都生まれ、現在は千葉県在住。2007年武蔵野美術大学大学院映像コース修了。横浜美術館での滞在制作 (アーティスト・イン・ミュージアム横浜2009)をきっかけに、10〜12年まで横浜・黄金町で活動。また、秋吉台国際芸術村でのレジデンスを機に、13〜15年までは山口市を拠点にする。16〜18年に文化庁新進芸術家海外研修制度により、フランス国立東洋言語文化大学(INALCO)の客員研究員としてパリに滞在した。

 独自の映像世界で高く評価される志村。スニーカーやボタンといった身近な日用品や風景を題材にした映像インスタレーション作品を、美術館から屋外まで場所を問わず自由に展開してきた。近年では各地でのフィールドワークをもとに、ドキュメンタリーの手法を取り入れた映像作品を制作。ローカルな視点から、可視化され難い社会問題や歴史にも焦点を当てた作品は、私たちの身体や記憶の深部に潜んでいる「もの」との共鳴による体感を生み出し、呼び覚まされた記憶が重なり合うことで、どこか懐かさを思い起こさせる。

 本展は「游動」と題し、水・光・月をモチーフとして取り入れた新作の映像インスタレーションを公開。自然や事物のあり様をとらえ続けている志村の作品は、水のなかの浮遊感や風にゆらめく木々の生き生きとした漂いに見ることができる「游/遊」と「動」を生み出し、日々私たちの日常のなかで游動している事物と各々との交感のさまを鮮やかに写し出す。