EXHIBITIONS

館蔵

秋の優品展 桃山の華

2021.08.28 - 10.17

織部洲浜形向付 桃山時代・17世紀 五島美術館蔵

本阿弥光悦筆 伝 俵屋宗達下絵 鹿下絵和歌巻断簡 江戸時代・17世紀 五島美術館蔵

 五島美術館が所蔵品を中心した「秋の優品展 桃山の華」を開催。桃山〜江戸まで、時代の美意識を映した華やかな名品の数々を紹介する。

 本展では、五島美術館と大東急記念文庫の収蔵品から、琳派絵画、書、工芸、古典籍など、桃山・江戸時代の優品約50点を選び展観(会期中、一部展示替あり)。また本展に合わせた特集展示として、館蔵の日本陶磁コレクションも同時に公開する。

 見どころのひとつとなるのは、桃山〜江戸時代につくられた漆器の《秋草蒔絵文箱(あきくさまきえふばこ)》。本品には黒漆塗に薄、菊、桔梗、撫子などの秋草が描かれ、平蒔絵(ひらまきえ)と呼ばれる蒔絵に針描き(漆で文様を描き、金粉を蒔いて針状のもので引掻いて細部を表す)を基本としている。さらに、葉や花などに絵梨子地(えなしじ、梨の果実の肌に似る蒔絵表現の一種を絵の一部に用いること)を併用しており、豊臣秀吉と妻の高台院が好んだことでも知られる「高台寺蒔絵」の作品群と共通する作行きを見せている。

 本展ではこのほか、桃山時代の伊賀焼を代表する水指で、伊賀藤堂家に伝来した重要文化財《古伊賀水指 銘 破袋(こいがみずさし めい やぶれぶくろ)》や、「紫式部日記絵巻」のうち、1008(寛弘5)年11月1日の皇子誕生五十日目の祝い日の様子の場面を描いた国宝《紫式部日記絵巻 五島本第二段》(展示期間:10月9日〜10月17日)など、貴重な品々が展示される。