EXHIBITIONS

デミタスカップの愉しみ

2021.08.24 - 10.10

アダレイ《金彩薔薇図カップ&ソーサー》 1886-1905 村上和美氏蔵

マイセン《貼りつけ花鳥とスノーボール蓋付きカップ&ソーサー》 1860-1880 村上和美氏蔵

サルヴィアーティ 1800年代後期 村上和美氏蔵

 渋谷区立松濤美術館は展覧会「デミタスカップの愉しみ」を開催。本展では、デミタスをコレクションしている村上和美の協力を得て、ジャポニスム、アール・ヌーヴォー、アール・デコのデザインを中心に厳選した約380点を紹介している。

 濃いコーヒーを飲むための小さなコーヒーカップ「デミタス」は、ヨーロッパでテーブルウェアと食文化の様式が確立した19世紀に誕生。必ずしもセットの一要素に限られることなく、カップ単独でも使用されうる異色な存在として現れた。

 この頃のヨーロッパでは中産階級が勃興し、その間にコーヒー文化が浸透すると、焙煎・抽出技術も進展。多様なコーヒーの楽しみ方が広がるにつれて、デミタスカップの需要も増え、様々なデザインが生まれることとなった。

 本展では、19〜20世紀に欧州の名窯が産んだジャポニスムや、アール・ヌーヴォー、アール・デコなど当時の流行を反映したもの、また日本の輸出製品、「超絶技巧」ともいえる繊細な装飾が施されたものなど、多彩なデミタスカップを展示している。

 コレクターの村上は有名窯に限定せず、創造性の輝く優品に注目して収集を続けてきた。そのコレクションならではの、一客一客が個性豊かなデミタスカップの魅力を堪能したい。