EXHIBITIONS

テオドラ・アクセンテ「Listen How the Horns are Growing」

2021.08.18 - 09.11

テオドラ・アクセンテ Inside is Light 2021 © Teodora Axente

テオドラ・アクセンテ Detail of a Deer 2021 © Teodora Axente

 104GALERIEは移転後初の展覧会として、テオドラ・アクセンテによる「Listen How the Horns are Growing」展を開催する。

 アクセンテは1984年ルーマニア・シビウ生まれ。2004年にクルジュ芸術大学で博士過程を修了し、現在は、名だたるアーティストを輩出してきたルーマニア第2の都市・クルジュ=ナポカを拠点に活動している。

 アクセンテによってアジア初個展となる本展では、中〜大型のキャンバス作品と小作品の新作合わせて10点を発表する。

 アクセンテは一貫して現実世界と想像の世界という領域に、そして物質と精神という二元性について取り組んできた。以前の絵画作品は、アクセンテ自身が衣装制作・空間演出した写真をもとに描かれている。シンプルな背景のなかにアルミホイルやファー、レースやサテンを使った煌びやかな衣装をまとう人物を描いた作品は、ファッションへのつながりも感じさせる現代的な印象を持つ。いっぽう近年では、古典的な肖像画からの引用を用いて歴史や宗教、神話に登場する要素を、デジタルコラージュによって一度再構築したのちキャンバスに描く方法で作品を制作している。

 本展の作品には、角が生え変わることで成長する鹿が再生のシンボルとして描かれており、半身が鹿と同化した人物や、人と鹿が共生する空間などになぞらえて、神聖な存在や人間の複雑な内面が表現されている。意識という領域を比喩や物語でとらえようとするアクセンテの作品は、見るものを瞬く間に幻想的な世界へ引き込む。