EXHIBITIONS

上野の森美術館所蔵作品より

野田哲也の版画-Ⅰ 日々の暮らしの中で

2021.08.12 - 08.23

野田哲也 日記 1974年9月1日 1974

野田哲也 日記 1970年4月22日 ニューヨーク(b) 1970

 上野の森美術館ギャラリーでは、「野田哲也の版画―Ⅰ 日々の暮らしの中で」を開催する。同館が所蔵している、野田哲也の版画作品を紹介する展覧会シリーズの1回目。

 野田は1940年熊本県生まれ。日本を代表する版画家のひとり。東京藝術大学の教壇に立ち、長年にわたって後進の教育にも努めてきた。上野の森美術館では、68年から現在まで続く野田のライフワークとなっている「日記」シリーズのうち、70〜81年の作品を100点以上所蔵している。

 同館ではこれまでまとまって野田作品を展示する機会がなかったが、昨年の夏、日常をテーマにした企画展のなかで「日記」シリーズを紹介し、何気ない日常生活のワンシーンを抜群のセンスでとらえた野田の魅力を再認識した。これを受けて、野田の全所蔵作品を3回シリーズで紹介することになった。

 野田は「日記」シリーズにおいて、身の回りの風景や家族を題材として、自身が撮った写真をもとに木版、シルクスクリーンなどで制作。家族の肖像、野菜や果物、買い物袋、ソファ、車窓からの眺めなど、一貫して「その日、その場所」で記録した写真を綴っている。

 シリーズの第1回となる本展では「野田哲也の版画―Ⅰ 日々の暮らしの中で」と題し、野田の家族や日常生活に関する作品約40点を展示。作品は、客観的な視線が際立ちクールに見える反面、温かく共感できる居心地の良い空気が漂う。