古武家賢太郎「Hiroshima Colour」

　2006年よりロンドンを拠点に、自然木を支持体に神話や童話を思わせるモチーフのある幻想的な風景やポートレイトを色鉛筆で描いた作品、近年では封筒や葉書を支持体とする「Letters」シリーズなどを展開する古武家賢太郎の個展が開催される。

　少年時代にはゴッホやゴーギャンによる闊達な絵画に憧れていたという古武家は、多くの日本のアーティストが通過する美術系大学での専門教育を選択せず、ほぼ独学で表現方法を獲得。ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アーツに学びMFAを取得。アメリカンコミックや日本の漫画、1980年代イラストレーションなどの影響が見られる作品から、ルシアン・フロイド、ポーラ・レゴ、デイヴィッド・ホックニーらによるイギリスの絵画作品の影響も想起させる作風へと変化を見せていった。

　今回の新作展で発表される作品の多くは、およそ10年のイギリス生活を経て一時帰国した作家が、故郷である広島に4ヶ月滞在し制作した作品となる。20世紀の歴史の中で記号化された「ヒロシマ」と、現在の広島。そして遠い昔につながる広島を描き出す。