EXHIBITIONS
ススム・カミジョウ「丘の向こう Beyond The Hills」
ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、ススム・カミジョウの個展「丘の向こう Beyond The Hills」がMAKI Galleryで開催。日本での個展は3年ぶりとなる。
カミジョウは1975年長野県生まれ。16歳で渡米。2000年にオレゴン大学絵画ドローイング科を卒業したのち、02年にワシントン大学で絵画ドローイング科修士号を取得した。現在はブルックリンを拠点に制作・活動。動物や人の顔など身近なモチーフを色やかたちの歪みを通して抽象化する表現を追求しており、14年からはプードルのドローイングとペインティングのシリーズを精力的に制作している。
本展では、遊び心あふれるプードルのドローイングシリーズを、紙からキャンバスへと舞台を移した最新作を展示。より本質的な視覚要素へと抽象化されたプードルたちが、会場でそのユニークな存在感を放つ。
カミジョウの作品は、プードルという一見愛らしいテーマを入り口としながら、色とかたちが織りなす表情豊かな絵画世界へと見る者を誘う。ドローイングからペインティングへと変遷するなかでその表現方法を大胆に発展させ、そこには身体造形が極限までそぎ落とされた、もはや犬とは認識しがたい生き物が描き出されている。パーツ一つひとつの外形が単純化されていることから、私たちはそのフォルムの純粋な美しさに意識を向けることができる。
さらに、主題の本質を見出して、その内面の不気味ささえも引きだすほど真に迫るカミジョウの描写は、対局する二面性を作品にもたらし、どこか惹きつけられてしまう危うさも併せ持つ。そして背景とともに全体の構図がキャンバス上で組み立てられると、抽象化された要素がもとの主題を呼び起こし、楽しさや軽快さを含んだ新しいリズムを絵画に生み出す。
いっぽう、ミニマルに処理された背景に関して作家は、「書道のような、日本的な部分でもある」と語る。紙を使ったドローイングを長く制作してきたカミジョウは、キャンバスでもあえて紙と変わらないやりとりを画面と試み、結果として生まれた広いネガティブスペースは、図とのバランスによって奥深い絵画空間をもたらしている。いままでの作品に見られる細かいドットによる装飾も一切取り除き、分割されたパーツからなる平面的な構図や背景に配置された控えめな植物といった簡潔な描写は、最小を目指す極限の美である侘びの真髄をとらえようとするカミジョウの表現への追及がうかがえる。
カミジョウは1975年長野県生まれ。16歳で渡米。2000年にオレゴン大学絵画ドローイング科を卒業したのち、02年にワシントン大学で絵画ドローイング科修士号を取得した。現在はブルックリンを拠点に制作・活動。動物や人の顔など身近なモチーフを色やかたちの歪みを通して抽象化する表現を追求しており、14年からはプードルのドローイングとペインティングのシリーズを精力的に制作している。
本展では、遊び心あふれるプードルのドローイングシリーズを、紙からキャンバスへと舞台を移した最新作を展示。より本質的な視覚要素へと抽象化されたプードルたちが、会場でそのユニークな存在感を放つ。
カミジョウの作品は、プードルという一見愛らしいテーマを入り口としながら、色とかたちが織りなす表情豊かな絵画世界へと見る者を誘う。ドローイングからペインティングへと変遷するなかでその表現方法を大胆に発展させ、そこには身体造形が極限までそぎ落とされた、もはや犬とは認識しがたい生き物が描き出されている。パーツ一つひとつの外形が単純化されていることから、私たちはそのフォルムの純粋な美しさに意識を向けることができる。
さらに、主題の本質を見出して、その内面の不気味ささえも引きだすほど真に迫るカミジョウの描写は、対局する二面性を作品にもたらし、どこか惹きつけられてしまう危うさも併せ持つ。そして背景とともに全体の構図がキャンバス上で組み立てられると、抽象化された要素がもとの主題を呼び起こし、楽しさや軽快さを含んだ新しいリズムを絵画に生み出す。
いっぽう、ミニマルに処理された背景に関して作家は、「書道のような、日本的な部分でもある」と語る。紙を使ったドローイングを長く制作してきたカミジョウは、キャンバスでもあえて紙と変わらないやりとりを画面と試み、結果として生まれた広いネガティブスペースは、図とのバランスによって奥深い絵画空間をもたらしている。いままでの作品に見られる細かいドットによる装飾も一切取り除き、分割されたパーツからなる平面的な構図や背景に配置された控えめな植物といった簡潔な描写は、最小を目指す極限の美である侘びの真髄をとらえようとするカミジョウの表現への追及がうかがえる。



