EXHIBITIONS

視触手考画説『水彩考』

赤塚祐二 ケージとカナリア t1 2021

白井美穂 Water Head 2021

 東京アートミュージアムでは、「水彩」をテーマにした展覧会「視触手考画説『水彩考』」を開催する。

 本展の参加作家は、重厚なペインティングを描く赤塚祐二、周囲の風景や自然などを題材に作品を制作する池田雅文、近年は、自身のアトリエの窓から見える景色に着想を得たシリーズを手がける石川順惠のほか、上田豊一郎、菊池敏直、近藤昌美、白井美穂、中村一美、藤村克裕、松浦寿夫の10名。

 出展作家のひとり・菊池敏直は「視触手考画説『水彩考』」について、次のように述べている。

「美術に限らず表現媒体に何を選ぶかは、作家にとって目指す表現の核心を代理する重要なものです。そこで、私達がスケッチなどで多用する水彩絵具を入口にして『水彩と表現』の今を探る試みです。水彩の特徴を絵具の物質感が際立つことが少ない着彩面の平面性と仮定し、『画は平滑な表面の出来事』という命題を設定してみます。

 伝統的、或いは革新的イリュージョンか、それとも別の世界か、作家の視線に注目です。明治にあった『水彩画ブーム』は、人々の風景と日常への意識を革新するものでした。それまでの風景、所謂『名所絵』という観念的イメージの作画から、現在の私達と同じ、人々が生活するリアリティを描くことへの転換だと考えられるからです(菊池敏直)」。