EXHIBITIONS
土井樹、宮坂直樹、宮下さゆり「陰影のリビジョン」
TALION GALLERYでは、土井樹、宮坂直樹、宮下さゆりによる展覧会「陰影のリビジョン」を開催。本展は、3名の作家が「陰影」をめぐる認識や美学について、それぞれの立脚点からリビジョン(改訂)を加えることを企図して展開される。
土井樹は1989年兵庫県生まれ。2019年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修了。人工生命や人工システム内に発生する主観的時間などについて研究を行いながら、10代の頃より電子音楽や現代音楽の制作を続けている。生命らしさを追究する「機械人間オルタ」の研究開発に携わるほか、数々のメディア・アートや現代美術のプロジェクトにおいてプログラミングや設計、解析などを手がけている。
宮坂直樹は1985年千葉県生まれ。ブリュッセル王立美術学院で修士課程を修了後、パリ国立高等美術学校での研修を経て、16年に東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻先端芸術表現領域博士課程で博士号を取得。視線や視野、光学的画角による空間の構成や体性感覚的な性質について考察し、認識の方法によって様々に現れる空間の概念を研究している。ジェレミ・ベンサムが考案した監視システム「パノプティコン」や、ル・コルビュジエの「モデュロール」などの機能主義的枠組みを用いて、他者の身体知覚を認識する方法へと再解釈する作品などを発表している。
宮下さゆりは1988年長野県生まれ。2011年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業、13年に同大学大学院造形研究科油絵コースを修了。細密な鉛筆の線を重ねて、紙のうえに絵画の生まれる条件を問いかける宮下は、光と影を一貫した主題として制作を行っている。空間とそのなかに描かれる像だけでなく、それを見るまなざしを自己言及的に描き出すことによって、絵画の向こう側とこちら側を指し示す作品で知られている。
「陰影」にまつわる美学は、西洋の文化と日本のくらしの美意識を対比しつつ記述した谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』(1933)など、評論や文芸においても度々著されてきた。
本展では、陰影をアレゴリーや演色としてではなく、美的経験と知覚のあり方をかたどる機制としてとらえる態度を引き受けながら、3名の作家のそれぞれに異なるアプローチによって、作品展示として構成する。陰影のリビジョンとは、陰影と呼びうる物体や空間に属さない連続性がどのように作品化されうるかという問いであると同時に、美術が物語を経由することなく、文芸との不可逆的な関係を切り結ぶ可能性への問いでもある。
土井樹は1989年兵庫県生まれ。2019年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻修了。人工生命や人工システム内に発生する主観的時間などについて研究を行いながら、10代の頃より電子音楽や現代音楽の制作を続けている。生命らしさを追究する「機械人間オルタ」の研究開発に携わるほか、数々のメディア・アートや現代美術のプロジェクトにおいてプログラミングや設計、解析などを手がけている。
宮坂直樹は1985年千葉県生まれ。ブリュッセル王立美術学院で修士課程を修了後、パリ国立高等美術学校での研修を経て、16年に東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻先端芸術表現領域博士課程で博士号を取得。視線や視野、光学的画角による空間の構成や体性感覚的な性質について考察し、認識の方法によって様々に現れる空間の概念を研究している。ジェレミ・ベンサムが考案した監視システム「パノプティコン」や、ル・コルビュジエの「モデュロール」などの機能主義的枠組みを用いて、他者の身体知覚を認識する方法へと再解釈する作品などを発表している。
宮下さゆりは1988年長野県生まれ。2011年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業、13年に同大学大学院造形研究科油絵コースを修了。細密な鉛筆の線を重ねて、紙のうえに絵画の生まれる条件を問いかける宮下は、光と影を一貫した主題として制作を行っている。空間とそのなかに描かれる像だけでなく、それを見るまなざしを自己言及的に描き出すことによって、絵画の向こう側とこちら側を指し示す作品で知られている。
「陰影」にまつわる美学は、西洋の文化と日本のくらしの美意識を対比しつつ記述した谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』(1933)など、評論や文芸においても度々著されてきた。
本展では、陰影をアレゴリーや演色としてではなく、美的経験と知覚のあり方をかたどる機制としてとらえる態度を引き受けながら、3名の作家のそれぞれに異なるアプローチによって、作品展示として構成する。陰影のリビジョンとは、陰影と呼びうる物体や空間に属さない連続性がどのように作品化されうるかという問いであると同時に、美術が物語を経由することなく、文芸との不可逆的な関係を切り結ぶ可能性への問いでもある。




