EXHIBITIONS

江戸の天気

2021.06.26 - 07.25, 2021.07.30 - 08.29

歌川広重 名所江戸百景 高輪うしまち 前期

歌川国貞 夕立景 後期

歌川広重 木曽海道六拾九次之内 四拾七 大井 前期

葛飾北斎 冨嶽三十六景 山下白雨 前期

歌川広重 名所江戸百景 大はしあたけの夕立 後期

 太田記念美術館が展覧会「江戸の天気」を開催。絵のなかに表現された天気に注目する。

 晴れわたる空、土砂降りの雨、しんしんと降る雪、雨あがりの虹。浮世絵には様々な気象現象が描き込まれ、浮世絵師たちは刻々と変わる天気を繊細な色彩の変化によって、あるいは大胆にデフォルメし表現してきた。

 本展では、葛飾北斎や歌川広重、小林清親らの手によって生み出された風景画を展示。雨や雪景色を題材とした作品や、独創的に描かれた雲のかたちと空の色など、浮世絵師たちの個性あふれる表現を通して、うつろう空模様を愛でる日本人の美意識を紹介するとともに、風雨に翻弄されながらも繰り広げられた人々の営みにも焦点を当てる。

 なかでも見どころとなるのは、突然の雨に降られ橋を渡る人たちを描いた歌川広重の《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》(後期展示)。雨雲の不穏な動きを表すため、画面の上部に「あてなしぼかし」と呼ばれる不定形のぼかしを施すなど、激しい夕立と、それに慌てる人々の様子を再現するために様々な技法が駆使されている。

 広重の晩年の大作「名所江戸百景」シリーズの1点でもある本作は、あらゆる天候を描き続けるなかで磨かれた、広重の感性と構成力が存分に発揮された逸品とも言える(前後期で全点展示替えあり)。