EXHIBITIONS

髙橋銑「CAST AND ROT」

2021.06.26 - 07.18

髙橋銑 Cast and Rot 2019 Photo by Keizo KIOKU

 髙橋銑(たかはし・せん)は1992年東京都生まれ。2021年に東京藝術大学美術研究科彫刻専攻を修了。彫刻表現に要する技術を礎に、映像作品やインスタレーション、食用の飴や香油など、様々な素材の持つ特性を最大限活かし、作品制作に意欲的に取り組んでいる。主な展覧会に、個展「二羽のウサギ / Between two stools」(The 5th Floor、東京、2020)、グループ展「Sustainable Sculpture」(駒込倉庫、東京、2020)などがある。

 髙橋が初めて本格的に美術にふれたのは、教育機関や制作活動ではなく、仕事で携わったブロンズ彫刻の修復作業だった。髙橋の芸術活動は、朽ちかけ、元の状態が壊れる前兆のある作品に対峙し、それを修復するという稀有な体験から始まっている。

「直す」という行為と同時に、そのものの終焉を想像すること。髙橋の作品表現にはつねに事物の終わりに対する身支度や、振る舞いを感じさせる。それは作家自身の存在そのものに向き合う場合でも例に漏れず、ヴァニタスや諸行無常など、ヒューマニズムのまなざしではなく、ただそこに事物が存在するのと同じように、制作した自身の作品さえいつか失くなることを受け入れながら、存在の不確かさを静観し、作品へと表現している。

 本展では、ブロンズ彫刻に用いられる保存処置を野菜のニンジンに施した「Cast and Rot」シリーズの新作群を発表。LEESAYAでの個展は今回が初となる。