EXHIBITIONS

橋本仁展「VIRTUS」

2021.06.22 - 07.12

橋本仁展「VIRTUS」より

 現代美術作家・橋本仁の個展「VIRTUS」がtagboatのギャラリースペースで開催される。7月12日まで。

 橋本は埼玉県出身。東京藝術大学工芸科鍛金研究室修士過程修了。鉄を鍛造した修了作品は、東京都知事賞を受賞し上野恩賜公園に4年間設置された。現在は鉄以外の素材も使い、一貫して「蓄積」をテーマに多様な作品制作。海外にも活動の場を広げている。

 壮大な世界の小さく儚い存在である自分を受け入れ、個々の存在が生と死の間で現在という瞬間と真摯に向き合って何を考え行動するのか。橋本はそのような考えを創作の軸とし、木を彫り、鉄パイプをつぶすし、色鉛筆で紙面を塗りつぶす制作手法を取ることで、 手技の痕跡を残しながら時間を蓄積するように作品を手がけている。素材が持つ生命力や呼吸、そして地球の記憶を感じながら制作するという行動に要した時間が想像されるような「行為の痕跡」を作品にすることで、時間の蓄積を見せる。

 地球を循環する鉄や木材などの素材を用いる橋本の作品は、鍾乳洞のように地球が積み重ねた時間、素材が積み重ねてきた時間、つくり手の身体に宿る記憶が静かに同居しているように感じられる。

 本展では、新作を含む作品約20点を展示・販売。深い哲学性と高度な技術を合わせもつ記憶の蓄積を、会場で感じ取ってほしい。