EXHIBITIONS
SPUR by MEM
東京・恵比寿を拠点にするMEMによる企画展「SPUR」がCADAN有楽町で開催中。MEMの所属作家4名の作品約10点を展示している。
MEMは1997年大阪府に開廊し、2010年に現在の場所に移転。戦前の歴史的に重要な作家から、現代の問題に取り組む若手作家までを紹介している。
出展作家の北野謙は、1968年東京都生まれ。バブル崩壊前後の混迷する東京を長時間露光で撮影した白黒写真のシリーズ「溶游する都市」でデビュー。最新シリーズでは半年間シャッターを開放して太陽の軌跡をフィルムに収めた《光を集める》を発表する。一見まったく異なる2つのシリーズは、どちらも写真ならではの技法によって人間の視覚を超えたところに現れるヴィジョンを写し出す。2011年に第27回東川賞新人賞、第14回岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞。
児玉靖枝は1961年兵庫県生まれ。80年代に静物画を描くことから出発し、90年代には白い背景のなかに大きい身振りで描かれる鮮やかな色のストロークが印象的な抽象画を描く。それは目に見えないものを絵画体験のなかで探ることが動機のひとつだった。2000年代以降は絵画世界だけでなく、自己と世界、人間と社会の関係性を視点に取り入れるべく、木々や桜、日常で目にする自然といった具象的なモチーフを扱い、そして最新作「Asyl」において、90年代の大胆なストロークと2000年代以降の具象的モチーフとを融合した新たな絵画世界の領域へ踏み込む。
須藤絢乃は1986年大阪府生まれ。被写体の性別を超えた変身願望や理想のもと、少女マンガのカラー原稿と写真のはざまにあるような作品を発表してきた。初期はデジタル加工で模様などのデコレーションや、プリント表面にラインストーンやグリッターを施し、被写体が求める世界を具現化。行方不明の少女たちを題材にした《幻影》以降、仮想世界と現実を行き来するようなシリーズへ発展させる。生身の人間をアンドロイドのように撮影した《VITA MACHINICALIS》では、真実と幻想に揺らぐ美しさを表現する。2014年キヤノン写真新世紀グランプリ受賞。
三島喜美代は1932年大阪府生まれ。陶器で新聞や段ボール箱の立体作品で知られるが、初期の60年代は雑誌や新聞をコラージュした平面作品の大作を手がけていた。当時は新聞や雑誌で情報があふれ「情報化社会」の時代が始まった頃。絵画に社会性を取り込む意図もあり、国内に限らず海外の雑誌や新聞も入手し作品も大型になったが、情報に翻弄される社会の危うさを端的に表したいと、割れる危険性をはらんだ陶器で新聞をつくり始め、いまに至る。三島は、現在開催中の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」(森美術館、東京、~9月26日)にも参加している。
本展のタイトルである、ドイツ語のSPUR(シュプール)には「痕跡」という意味がある。MEMは、「鑑賞者が作品と出会うタイミングによっては、作家の過去作と最新作との間で大きなギャップを感じることがあるかもしれません。しかし一見全く別物に見える作品はどれも根底で繋がっており、初期作の中には現在に通じるエッセンスが見られたり、最新作にこれまでの作品と結びつく糸口が見えたり、それらは足跡のように点ではなく線上で連なっています。本展では初期と近作を対比するように並べ、作品と作品を結ぶ痕跡を探ります」とコメントしている。
MEMは1997年大阪府に開廊し、2010年に現在の場所に移転。戦前の歴史的に重要な作家から、現代の問題に取り組む若手作家までを紹介している。
出展作家の北野謙は、1968年東京都生まれ。バブル崩壊前後の混迷する東京を長時間露光で撮影した白黒写真のシリーズ「溶游する都市」でデビュー。最新シリーズでは半年間シャッターを開放して太陽の軌跡をフィルムに収めた《光を集める》を発表する。一見まったく異なる2つのシリーズは、どちらも写真ならではの技法によって人間の視覚を超えたところに現れるヴィジョンを写し出す。2011年に第27回東川賞新人賞、第14回岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞。
児玉靖枝は1961年兵庫県生まれ。80年代に静物画を描くことから出発し、90年代には白い背景のなかに大きい身振りで描かれる鮮やかな色のストロークが印象的な抽象画を描く。それは目に見えないものを絵画体験のなかで探ることが動機のひとつだった。2000年代以降は絵画世界だけでなく、自己と世界、人間と社会の関係性を視点に取り入れるべく、木々や桜、日常で目にする自然といった具象的なモチーフを扱い、そして最新作「Asyl」において、90年代の大胆なストロークと2000年代以降の具象的モチーフとを融合した新たな絵画世界の領域へ踏み込む。
須藤絢乃は1986年大阪府生まれ。被写体の性別を超えた変身願望や理想のもと、少女マンガのカラー原稿と写真のはざまにあるような作品を発表してきた。初期はデジタル加工で模様などのデコレーションや、プリント表面にラインストーンやグリッターを施し、被写体が求める世界を具現化。行方不明の少女たちを題材にした《幻影》以降、仮想世界と現実を行き来するようなシリーズへ発展させる。生身の人間をアンドロイドのように撮影した《VITA MACHINICALIS》では、真実と幻想に揺らぐ美しさを表現する。2014年キヤノン写真新世紀グランプリ受賞。
三島喜美代は1932年大阪府生まれ。陶器で新聞や段ボール箱の立体作品で知られるが、初期の60年代は雑誌や新聞をコラージュした平面作品の大作を手がけていた。当時は新聞や雑誌で情報があふれ「情報化社会」の時代が始まった頃。絵画に社会性を取り込む意図もあり、国内に限らず海外の雑誌や新聞も入手し作品も大型になったが、情報に翻弄される社会の危うさを端的に表したいと、割れる危険性をはらんだ陶器で新聞をつくり始め、いまに至る。三島は、現在開催中の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」(森美術館、東京、~9月26日)にも参加している。
本展のタイトルである、ドイツ語のSPUR(シュプール)には「痕跡」という意味がある。MEMは、「鑑賞者が作品と出会うタイミングによっては、作家の過去作と最新作との間で大きなギャップを感じることがあるかもしれません。しかし一見全く別物に見える作品はどれも根底で繋がっており、初期作の中には現在に通じるエッセンスが見られたり、最新作にこれまでの作品と結びつく糸口が見えたり、それらは足跡のように点ではなく線上で連なっています。本展では初期と近作を対比するように並べ、作品と作品を結ぶ痕跡を探ります」とコメントしている。




