EXHIBITIONS

East-East Vol.4: The Curio Shop

HB.Nezu
2021.06.18 - 07.02

キービジュアル デザイン:八木幣二郎

アルマハ・ジャララ Um Khalthoum and Frida Kahlo 2019 Courtesy of the artist

サルマン・アル・ナジェム Mayloon Khater(One-Million-Aspirations) 2020 Courtesy of the artist

クリストファー・ベントン GCC Best Friends 2017 Installation view, "Do You See Me How I See You" , Maisan 15, Dubai, 2020 Courtesy of the artist

HB.Nezu 外観

 ソフィー・アルニによるキュレーション展「East-East Vol.4: The Curio Shop」がHB.Nezuで開催される。本展は、ニューヨーク大学アブダビ校アートギャラリー・プロジェクトスペースでの展覧会「UAE meets Japan」(2016)からスタートし、ドバイのギャラリーCHI-KA Space (2016~17)での開催を経て行われる展覧会シリーズの第4弾。

 本シリーズは、湾岸アラブ諸国と東アジアにおいて、異文化間の対話を行う新世代アーティストたちの作品を展示することにより、美術史へのユーロセントリックなアプローチを分散化する意図から生じた。アジアが新しい文化の震源地としてますます勢いを増しているいま、デジタルな相互接続の時代において、文化的生産の「center」という考えは次第に無意味になりつつある。この環境において本展では21世紀の精神へ向け、中東〜東アジアの文化交流の層を探る。

 展覧会シリーズ4回目となる今回のタイトルは「The Curio Shop」。横浜で撮影されたフェリーチェ・ベアト(​1832~1909)の写真のタイトルにインスパイアされ、今日の東京の「Curio(骨董品/珍しい美術品)」の概念を置き換えることを目指す。

「好奇心」の19世紀の略語である「キュリオス」は、ペリーの黒船来航と開国後、日本において、初期の欧米外国人入国者に販売された優れた職人技の作品を表すために使用された。「キュリオハンティング」は外国人の娯楽のひとつであり、もっとも人気のある製品カテゴリーは、磁器、漆器、青銅細工、竹細工、絹の刺繡、木版画だった。

 21世紀に入り、漆器や磁器の花瓶の代わってマンガやアニメが今日の日本の「骨董品/Curio」として登場すると、ブロードバンドテクノロジー、吹き替え、デジタル接続の恩恵でそれらの画像は世界中を旅することとなる。これらは、私たちが通常「西洋」と呼ぶものを超えて到達し、南アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカ全体で数百万の世帯に届けられている。

 アラブ諸国を拠点とするアーティストたちにとっての「日本の夢」とは何か、そして日本の若手アーティストたちは、自分たちの文化的輸出品をどのように見ているのか。本展で発表される作品は、今日の「エキゾチック」の概念を再定義することも目的としている。

 参加アーティストは、アイシャ・アル・アリ、アリヤ・アル・アワディ、クリストファー・ベントン、BIEN、DAISAK、布施琳太郎、アルマハ・ジャララ、黒川知希、ハシェル・アル・ラムキ、メリエム・メグ、ハリド・メザイナ、サルマン・アル・ナジェム、ニミュ、アーサー・デ・オリベイラ、多田恋一朗、八木幤二郎(グラフィック・デザインを担当)。セノグラフィーは坂下彰が手がける。