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猪熊弦一郎展 いのくまさんとニューヨーク散歩

ニューヨークの猪熊弦一郎 写真提供=文藝春秋

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が企画展「猪熊弦一郎展 いのくまさんとニューヨーク散歩」を開催する。

 1950年代半ばから約20年間ニューヨークで活動した猪熊弦一郎(1902〜93)。当時、第二次世界大戦後のニューヨークは活気にあふれ、世界中から多様なアーティストが集まり、パリに代わる芸術の拠点となっていた。

 55年、猪熊は戦前に暮らしたパリへ向かう予定で日本を発ったが、途中立ち寄ったニューヨークに魅了され、ニューヨークに居を構えた。自宅から歩いて行ける距離に立ち並ぶ世界有数の美術館やギャラリーで、名画や最先端の美術を思うままに鑑賞し、高層ビルや斬新な建築物を眺め、パレードや路上ライブを楽しんだ。また路地裏の落書きを夢中で撮影するなど、猪熊はニューヨーク暮らしを堪能した。

 環境の変化は猪熊の作画にも大きな影響を与え、渡米後、その表現は具象から抽象へと変化。そして、ニューヨークのウィラードギャラリーの所属作家として個展を10回開催するなど精力的に新作を発表し続けた。

 本展は「編集長」として編集者の岡本仁を、「副編集長」として元ニューヨーカーの河内タカを迎え、猪熊のニューヨーク時代の作品と、猪熊が撮った映像や写真、大量にストックしていたギャラリーの展覧会案内などの資料を展示。猪熊が見ていたニューヨークの街を散歩するように展示を構成し、時代背景を含めその画業を紹介する。