EXHIBITIONS
加藤富也「転」
点描によって繊細な作品を表現するアーティスト・加藤富也の新作個展「転」がs+artsで開催される。
加藤は1955年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。事物の再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出し、点描画として再構成している。
すべての色彩を混合すると無彩色のグレーとなるなかで、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる加藤の作品はいずれも、一見落ち着いた印象で統一されているように見える。しかし、目の前に広がる無数の点は、近くで見るほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩であふれている。
「モチーフが何であれ、描かれたものは実は全て抽象であり、『点』の集積に過ぎない」と言う加藤の点描からは、感情的な印象ではなく、物質が放つ存在感を見る者に感じさせる。「人の存在も素粒子の群として見れば、あるエネルギーの流れが漂っているに過ぎず、社会的な存在としての差異などは大した問題ではない」と考える加藤にとって、作品を描くうえで何がモチーフかは重要ではなく、そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配をとらえることに重きを置いている。
本展タイトルの「転」は転機を意とし、加藤にとって過去の振り返りと作品アプローチにおける指標として選ばれた言葉だ。自身が制作を始めた頃の初心に戻り、いまに通じる表現の追求と、点描以外の可能性についても再び探求していく機会となる。これまでストイックに点描の制作を続けてきた加藤が、おおらかで柔らかい姿勢で臨んだ作品も展示される。
加藤は1955年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。事物の再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出し、点描画として再構成している。
すべての色彩を混合すると無彩色のグレーとなるなかで、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる加藤の作品はいずれも、一見落ち着いた印象で統一されているように見える。しかし、目の前に広がる無数の点は、近くで見るほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩であふれている。
「モチーフが何であれ、描かれたものは実は全て抽象であり、『点』の集積に過ぎない」と言う加藤の点描からは、感情的な印象ではなく、物質が放つ存在感を見る者に感じさせる。「人の存在も素粒子の群として見れば、あるエネルギーの流れが漂っているに過ぎず、社会的な存在としての差異などは大した問題ではない」と考える加藤にとって、作品を描くうえで何がモチーフかは重要ではなく、そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配をとらえることに重きを置いている。
本展タイトルの「転」は転機を意とし、加藤にとって過去の振り返りと作品アプローチにおける指標として選ばれた言葉だ。自身が制作を始めた頃の初心に戻り、いまに通じる表現の追求と、点描以外の可能性についても再び探求していく機会となる。これまでストイックに点描の制作を続けてきた加藤が、おおらかで柔らかい姿勢で臨んだ作品も展示される。

