EXHIBITIONS

MES個展「DISTANCE OF RESISTANCE/抵抗の距離」

2021.06.08 - 06.15

展覧会メインビジュアル

「ANB Tokyoオープニング展 ENCOUNTERS <NIGHTLIFE> Houxo Que × MES」(ANB Tokyo、2020)での展示風景

「ANB Tokyoオープニング展 ENCOUNTERS <NIGHTLIFE> Houxo Que × MES」(ANB Tokyo、2020)での展示風景

「ANB Tokyoオープニング展 ENCOUNTERS <NIGHTLIFE> Houxo Que × MES」(ANB Tokyo、2020)での展示風景

「ANB Tokyoオープニング展 ENCOUNTERS <NIGHTLIFE> Houxo Que × MES」(ANB Tokyo、2020)での展示風景

MES meltdown pt.2 “cakeshop” 2021 「Media Ambition Tokyo 2021」(六本木ヒルズ52F シティビュー、東京、2021)での展示風景

MES meltdown pt.2 “cakeshop” 2021 「Media Ambition Tokyo 2021」(六本木ヒルズ52F シティビュー、東京、2021)での展示風景

 レーザーを駆使した表現で知られるユニット・MES(メス)が4年ぶりに個展を開催する。本展企画協力は吉田山(「FL田SH」ディレクター) 。

 MESは、新井健(あらい・たける)と谷川果菜絵(たにかわ・かなえ)が2015年に結成したアーティスト・ユニット。東京藝術大学で活動を始め、国内外で展示やパフォーマンス、ライブイベントを開催。レーザーや仮設資材を多用し、クラブカルチャーと美術の接触を試みるなど、マージナルな位置から社会を観測する作品を展開する。

 MESは近年、それまで表現活動の場としていた渋谷のクラブ・青山蜂の風営法改正に伴う摘発(2018)を契機に、都市開発や法整備の不条理を目の当たりにして以降、工事現場の仮設資材やクラブカルチャーの様式や歴史を作品に取り入れ、社会の不条理や混沌をリフレクトするように、社会がスペクタクルに呑み込まれる様相を写し取る作品を制作している。

 本展では、2018年から3年間にわたって継続的に制作してきた「LASER-WRI / LIGHTING(レーザー・ライティング)」シリーズを一挙に発表。東京の街を舞台に「暗くなっている」場所に向けてレーザーのメッセージを照らし出すパフォーマンスとその記録は、結成から5年を経た初期・MESの集大成と言えるシリーズだ。

 兵器として開発されたレーザーは、現在では照明あるいは工作機械として普及し平和的に利用されてきたいっぽうで、香港のデモやロシアのアート集団「ヴォイナ」の作品に見られるように、国家権力への反抗の装置としての役割も果たしている。東京オリンピック・パラリンピックを理由としたジェントリフィケーションに取り込まれていくアートやクラブカルチャーの流行に抵抗するように、MESがストリートへ放つメッセージは、行為への周到な用意に反し、一瞬の輝きを残して跡形もなく消え去る。その様子は映像や写真を通してしか見ることができず行為(パフォーマンス)の真実性について私たちに揺さぶりをかける。

 会期中には、様々なアプローチで社会に問いかける作品を制作してきたアーティストたちとの対談も設け、閉幕後に展覧会および対談をアーカイヴした記録集としてのZINEを発売予定。