EXHIBITIONS

Mimicry of Hollows 虚擬態

2021.06.11 - 07.04

展覧会メインビジュアル、 デザイン:八木幣二郎

アンヌ・ドゥ・ヴリース Critical Mass Pure Immanence 2015 Courtesy of the artist

フローリス・ショーンフェルド PUK Beta 2017 Courtesy of the artist Photo by Melanie Hyams

松⽥将英 landscape

ナイル・ケティング Person 2014 © Nile Koetting Courtesy of ANOMALY

タニヤ・エンゲルベルツ Hollow 2019 Courtesy of the artist and Rijksakademie

ヴィンセント・ライタス&レイ・LC Chikyuchi(Amazonchi) 2021

「Mimicry of Hollows 虚擬態」展がThe 5th Floorで開催されている。本展は、オランダ⼈アーティストのヴィンセント・ライタスと、⽇本⼈キュレーターの黒沢聖覇の共同キュレーションによるグループ展。会期は7月4日まで(当初の会期を延長して開催)。

 近年、急速に発達するアルゴリズムやAI。奥が⾒えない窪み(Hollow)のような、どこかでうごめくAIのような存在は、しばしば擬⼈化することで、私たちの⾏動や社会システムに⼤きく影響を与えている。それに伴い、私たちを取り巻く⾃然の地形や⾵景も⼈間の介⼊によってますます変容している。そして2020年に⽣じたコロナ禍は、私たちの認識可能な世界の背後で進⾏していた事態を前景化した。今⽇、私たちの⽣きる世界と「虚(Hollow)」の世界という「図と地」の関係は、時に反転し、時に侵⾷し合い、それぞれの境界の認識が難しくなっている。

 本展はこうした状況のなか、AIのシステムや、⾃然の⾵景のなかにある実体のわからない「虚の領域」に「擬態化」することで、この境界の不明瞭な世界をとらえようとすることの可能性を考える。

 出展作家は、アンヌ・ドゥ・ヴリース、タニヤ・エンゲルベルツ、松⽥将英、フローリス・ショーンフェルド、ナイル・ケティング、ヴィンセント・ライタス&レイ・LC。

 地球規模で様々な「虚の領域」が前景化している現代において、この状況を⾃分たちと切り離すことなく向き合い、そこから何を⾒出せるのか、本展では主にオランダ⼈と⽇本⼈のアーティストによる実践からひも解く。

 本展キュレーターのヴィンセント・ライタスは、1988年オランダ⽣まれ。東京藝術⼤学⼤学院美術研究科先端芸術表現専攻博⼠課程修了。メディア・テクノロジーを通して、身体感覚としての触覚性をデザインすることで、自己の内面と外的な空間を横断する「美学としての親密性(Intimacy as Aesthetics)」を模索している。また、作家活動に加えて、展覧会キュレーションも手がけている。

 他方、⿊沢聖覇(くろさわ・せいは)は1991年⽣まれ。タイランドビエンナーレ・コラート2021コ・キュレーター。2019年東京藝術⼤学⼤学院国際芸術創造研究科修了。同大学大学院研究科博⼠後期課程在籍。キュラトリアル実践を通して、⾃然環境・社会・精神の領域を横断する近年の新しいエコロジー観と現代美術の関係性を研究している。展覧会の企画・開催にとどまらず、ほかのアーティストと協働して作品制作も⾏う。

 なお本展は、⾹港で開催される 「Art Machines 2: International Symposium on Machine Learning and Art 2021」(シンギング・ウェイブス・ギャラリー、⾹港城市⼤学)とのコラボレーション展である。