EXHIBITIONS

没後10年 元永定正 もこもこワールド PartⅡ

2021.06.01 - 06.12

元永定正 だえんのまわりのかたちたち 1993

元永定正 ノーベル賞オマージュふくい 1983

元永定正 さんかくしかくながいまる 1981

元永定正 せのひくいおれんじはまんなかあたり 1984

 ときの忘れものでは、「没後10年 元永定正 もこもこワールド PartⅡ」を開催。美術家・元永定正(1922〜2011)の没後10年を記念して、現代版画センターのエディションを中心に版画26点を展示する。

 三重県に生まれた元永は、マンガ家を志したのち、1940年代後半に美術家へと転身。55年に関西を拠点に活動する「具体美術協会(具体)」に参加して、吉原治良に師事した。具体の「人の真似をするな。今までにないものをつくれ。」というコンセプトのもと、ビニール袋に色水を入れて吊るしたインスタレーションや、石にエナメル塗装を塗ったストローをつけた作品など実験的な作品を発表。58年にはアンフォルメルの画家として一躍注目を浴びた。

 その後も、64年の現代日本美術展での受賞をはじめ、各種国際展などで活躍。70年代には表現の幅を広げて、現代版画センターで多数の版画を制作した。また絵本作家としても高く評価される元永が、詩人の谷川俊太郎と共作した『もこもこもこ』は、刊行から40年経った現在でも子供たちに親しまれるロングセラーとなっている。83年、日本芸術大賞を受賞。91年には前衛画家としては初めて紫綬褒章を受章するなど、名実ともに日本を代表する抽象画家としての地位を確立した。

 本展で紹介するのは「ふにゃらくにゃら」「せのひくいおれんじはまんなかあたり」「おれぐりん」といったタイトルがつけられ、見るだけで楽しくなる作品ばかり。「僕は知性派じゃなく、アホ派です」と語った元永の、抜群のネーミングセンスも光る。