EXHIBITIONS

安達裕美佳「あるひのこと」

2021.05.22 - 06.13

安達裕美佳「あるひのこと」より

 今年3月にオープンしたKATSUYA SUSUKI GALLERYでは、安達裕美佳による個展「あるひのこと」を開催する。

 安達は1987年東京都生まれ。2012年に東京造形大学大学院美術研究領域を修了し、在学中より個展を開催するほか、グループ展にも積極的に参加し精力的に作品を発表している。その表現方法は絵画にとどまらず、インスタレーションや写真、様々なジャンルのアーティストとのコラボレーション、パフォーマンスなど多岐におよぶ。

 作家にとって3年ぶりの個展となる本展では、日常生活のなかで蓄積されてきた記憶の断片を、キャンバスに落とし込んだ絵画作品が展示される。

 安達は、パーソナルなものである記憶を、「あるひのこと」という日時を限定させない言葉でくくり、普遍性をまとわせる。そうすることで、鑑賞者が作品と向かい合ったときに自身の記憶と重なり合い、作品は鑑賞者の「あるひのこと」になる。

「展覧会が決まった当初、私は私の⽇常にある『あるひのこと』を淡々と描くつもりでいた。しかし、祖⺟の死を⽬の当たりにして、私の世界に祖⺟が頻繁に現れるようになった。それから朝⼣散歩をするたび、開花する花や勢いよく育っていく新緑を眺め、『ありがとう』という気持ちが溢れてきた。美しい花や⽊々を眺めると、そこに祖⺟がいるような気がした。そんな祖⺟への想いを吐き出すように『あるひの祖⺟』やその後の『あるひ』の断⽚を描き落としていくことになった。

どんなことがあっても季節は流れ、蕾が開き、花が散り、新緑に沸き⽴つ。その変化し続ける⾵景は、変わりながらも変わりなく、淡々と過ぎていく(安達裕美佳、アーティスト・ステイトメントより)」。