EXHIBITIONS

Portraits

下田ひかり 今を生きる#3 2021

ヘブル・ブラントリー Both Are Him 2021

ミヒャエル・ゾーヴァ Underwater Stalker 2021

小泉悟 Without Bucket 2020

中村ケンゴ 自我曼荼羅 2021

大谷一生 RESPONSE 2021

 メグミオギタギャラリーでは、6人のアーティストによるグループ展「Portraits」を開催する。参加作家は、下田ひかり、ヘブル・ブラントリー、ミヒャエル・ゾーヴァ、小泉悟、中村ケンゴ、大谷一生。

 本展のテーマは「肖像画」。肖像画の歴史は長く、古くは理想化された時の権力者から、時代の変化とともに大衆の記念として描かれたものへと移行し、写真がそれに代わるとまったく別の意味を持つようになった。しかし絵を描くにも特別な意義を求められる現代において、とりわけ肖像画の果たす社会的な役割は議論の的になっている。

 かつて被写体の主役は人間だったが、近年ではキャラクターや動物も対等に描かれるようになり、作家がより親しみを感じるものが作品に投影されていることがわかる。またそこから写真に写らない対象物の本質や、内在するメッセージを読み取ることもできるだろう。

 一貫して、概念としての子供のポートレイトを描く下田ひかりの作品に登場する、「全ての人であり、誰でもない」子供の姿は現実社会の映し鏡でもある。ロサンゼルスで活動するヘブル・ブラントリーはコンセプチュアルなキャラクターを通して、鑑賞者を作品世界に引き込み、郷愁、精神、力や希望など複雑な人間の内面を表現している。ベルリンの画家・イラストレーターのミヒャエル・ゾーヴァは、映画『アメリ』の劇中に使われる絵とランプを手がけたことでも知られ、1枚の絵のなかにいくつもの次元が同居しているかのような、ユーモラスな世界観と緻密な画風で見る者を引きつける。
 
 小泉悟は、獰猛なものから脆弱なものまで、自然のなかで特性を活かし生きる様々な動物と、社会のなかで生きている人間の顔と姿を調和させた、伝統技術に基づく木彫作品を制作。中村ケンゴは大学・大学院で日本画を学び、Eメールで使われる顔文字、ワンルーム・マンションの間取り図、マンガの吹き出しやキャラクターのシルエットなど、現代社会を表象するモチーフを用いたユニークな絵画を描いている。そして大谷一生は、身近な存在を題材に、対象物の歪みによって主観を強調させるような力強い描写、鮮烈な色彩による感情表現、水墨画を思わせるグラフィックな表現など、西洋と東洋の異なる要素を大胆に融合させ、自身の経験に基づく独自の作品世界を展開している。

 本展では、6人の作家による絵画や彫刻など約15点の肖像作品を展示し、理想や思い、不安、悩みなどを持つ多様な現代人の姿を観察する。会期中には、オンラインビューイングも公開予定。