EXHIBITIONS

加納俊輔「滝と関」

2021.06.05 - 07.04

加納俊輔 Pink Shadow_29 2020

加納俊輔 Pink Shadow_34 2020

 加納俊輔の個展「滝と関」がMaki Fine Artsで開催。本展では、「ピンク・シャドウ」シリーズの最新作を発表する。

 加納は1983年大阪府生まれ。2010年京都嵯峨芸術大学大学院芸術研究科修了。写真を通して、複雑な階層を意識させる手法により、「見る」という行為を問い直す作品を発表している。現在、京都在住。アーティスト・ユニットTHE COPY TRAVELERSのメンバーとしても活動している。

「ピンク・シャドウ」は、印画紙が光を透過する性質を利用して制作される作品シリーズ。これまでの加納の作品の特徴は、表面からのレイヤーを重ねていく「積層」によるものが大半だったが、「ピンク・シャドウ」では裏面からの層が付け加えられた。このアイデアは、版画家・井田照一の作品からヒントを得たもので、表と裏を同時に見ることを実現化している。

 18年のMaki Fine Artsでの個展「ピンク・シャドウ」で初めて発表された作品から発展し、本展の新作は、さらに多重の要素が加えられ、複雑化したレイヤーにより設計されている。画面の中心を構成する花柄やストライプなどのパターンの図は、シルクスクリーンで透明ビニールに柄を刷り、実際にはプリントされた写真の裏側に置かれたもの。裏面から投影されて見える図像と、写真上で随所に構成された木片の陰影とのバランスが、視覚の動線をつくり出し、より立体感のある階層のイリュージョンをつくり出す。