EXHIBITIONS

河口龍夫「1971年の172800秒から2021年の345600秒へ」

2021.04.23 - 05.22

exhibition view "172800 Seconds" (galerie 16, Kyoto, 1971)

 河口龍夫による個展「1971年の172800秒から2021年の345600秒へ」がSNOW Contemporaryで開催される。会期は5月22日まで。

 1971年11月23日、京都のgalerie16で「河口龍夫個展 172800秒展」が開催された。それは中原佑介がコミッショナーを務めた「第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ)」(1970)において、潮の干満による海岸線の変化を定点観測した26点の写真作品《陸と海》を出品し、河口の才能に注目が集まり国際的に高い評価を受けた翌年の展覧会だった。

 いまから半世紀前の個展「172800秒展」では、画廊空間の壁に設置された8ミリカメラと、床に置かれたテープレコーダーにより空間の撮影と録音を試み、個展終了後には記録されたフィルムとテープを鉛で封印。鑑賞すべきものが存在しないこの展覧会は、経過する「時間」や鑑賞者との「関係」など、思考の可能性や目に見えない事象を観客に意識させた。

 1971年の「172800秒」を「再現」した2021年の「345600秒」となる本展は、河口が当時封印したフィルムやテープとともに、そのフロッタージュ作品などを展示。50年前に開催した展覧会を「再現」するいっぽうで、本展は時間の本質についても問いかける。