EXHIBITIONS

小林万里子「オーバーストーリー」

2021.04.17 - 06.05

小林万里子 はるばるの隙間から 2021 © Mariko Kobayashi Courtesy of KOTARO NUKAGA 

小林万里子 まどろみ 2021 Courtesy of KOTARO NUKAGA © Mariko Kobayashi

小林万里子 いにしえ山 2012 © Mariko Kobayashi Courtesy of KOTARO NUKAGA

 テキスタイル技法を用いて、世界に存在する様々な結びつきを表現するアーティスト・小林万里子の個展「オーバーストーリー」が、KOTARO NUKAGAで開催される。

 小林は1987年大阪府生まれ。多摩美術大学でテキスタイルデザインを専攻し、2012年に同大学大学院を修了。染織から刺繍、編み物まで多様な手法と素材を組み合わせて「生命の循環」をかたちにしている。

 昨年11月にCADAN有楽町での個展で展示された作品《熱と水》では、山を中心に据えた生態系サイクルを、高さ3×幅5メートルにも及ぶ色鮮やかな布素材を用いて圧倒的なスケール感で表現し、街を行き交う人々からも注目を集めた。またこれまで、13年にスターバックスコーヒー本社ビル、17年にはパークホテル東京の一室にコミッションワーク《縁》を制作するなど、確かな手仕事と揺るぎない世界観で多方面から高い評価を得ている。

 小さな疑問をきっかけに、自らを取り巻く世界の成り立ちをひも解くように制作を行う小林。本展のタイトル「オーバーストーリー」には、私たちの祖先が生きてきた数えきれない命の積層の上に成り立っている私たちの「いま」を描く物語、そして私たちが役目を終えて土に還ったその後の命が織りなす世界の物語、という2つの意味を込めている。

 様々な空間の特徴を踏まえ、空間全体を使ってコンセプトを具現化することに定評のある小林が、今作において「命の円」の薄皮にかたちを与え、新たな物語を紡ぎ出す。

※KOTARO NUKAGA(天王洲)は5月12日から再開し、本展の会期を6月5日まで延長。詳細・最新情報は公式ウェブサイトへ。