MUCHA（ミュシャ） グラフィック・バラエティ

　アルフォンス・ミュシャ（1860-1939）は、ヨーロッパを中心に起こった「アール・ヌーヴォー」を代表する画家・デザイナー。現代でも高い人気を誇るミュシャは、パリで人気を博すきっかけとなった《ジスモンダ》（1895）のような流麗な女性を描いたポスターでよく知られるが、その魅力はポスターだけにとどまらない。

　ミュシャはパリで有名になる前、生計を立てるために挿絵画家として活躍したことをきっかけに、数多くのグラフィック・デザインの仕事を手がけた。「大衆のための芸術」を制作することを目指し、独自の精緻なデザインが凝縮された本や雑誌の仕事、切手や紙幣のデザインといった国家規模の仕事など、生活に密接したデザインの仕事で人々の暮らしを彩った。

「グラフィック・バラエティ」と題した本展には、ミュシャによる本、雑誌、挿絵、切手、紙幣、ポストカードなど約550点が集結。多種多様な作品や仕事から、ミュシャの新たな一面を見つめ、その魅力を紹介する。

　優美な曲線で描かれた女性が印象的な《ジョブ》（1896）を含むパリ時代のポスターの数々に加え、「ミュシャ様式」の教科書とも言うべき図案集『装飾資料集』（1902）なども公開する。

　そして、うらわ美術館の収集方針のひとつである「本をめぐるアート」にあわせ、堺 アルフォンス・ミュシャ館所蔵の挿絵の習作なども複数点展示され、ここでしか見られないミュシャ展となる。