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EXHIBITIONS

ジュリアン・サルメント展「ジャパニーズ・トラフィック・イエロー・タイド」

「ジュリアン・サルメント展」展示風景より

 ポルトガルのアーティスト、ジュリアン・サルメントの個展が現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリーで開催されている。

 サルメントはポルトガル・エストリルを拠点に活動。制作のテーマは、生と死、幸せと悲しみ、執着と無関心など。私たちの生活や感情にある様々な断片を作品のなかに織り交ぜながら、絵画やドローイング、彫刻、写真、映像、パフォーマンスや音、インスタレーションといった媒体を使って表現している。作品はこれまで、ニース近現代美術館、ヴァンアッベ市立美術館、サンフランシスコ近代美術館、テート・ギャラリー、セラルヴェス美術館など世界各地で展示され、80年代以降の現代美術界を代表するアーティストのひとりに数えられる。

 本展ではCCAギャラリーに、色番「RAL1023」が配色された空間が出現。サルメントはこの色を選んだ理由を次の通りに語っている。

「床の対角線の交わるところの、部屋のちょうど真ん中に1人で立ち、色について考える。ただどんな色でもいいのではなく、私を未知の喜びへ、歓喜の場所へ連れて行ってくれる色。自由とつながり、自分の成長につながる色。特に心惹かれ、よく作品に使う色。気分をよくしてくれる色。ニューヨークのタクシーのような色。あの通りの流れ埋める色だ。色番はRAL1023。そして想像してみる。

自分が立っているこの部屋を埋めるのに、一体どれだけのペンキが必要なのか。私の頭の先まで、頭がちょうど隠れるぐらいまでペンキがあふれ、その中に、その真ん中に自分はいて、ただじっとしている。私の背の高さである、186センチのところまで満たされて、ちょうど私の頭の上の髪が隠れるぐらいだ。まるで黄色の大洪水。部屋をシンクのように考えてみる。黄色で満たされた部屋の底には穴があって、そこからペンキが消えていく。そして残ったもの。186センチの高さまで、完全に黄色で覆われた部屋。シンプルな方程式。よりシンプルなジェスチャーだ(ジュリアン・サルメント、2021年1月)」。