EXHIBITIONS

ヨフ「2D Painting[Matière]」

theca(コ本や honkbooks)
2021.04.06 - 04.25

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 アーティストグループ・ヨフ(YOF)の個展「2D Painting[Matière]」がtheca(コ本や honkbooks/池袋)で開催される。

 ヨフは、色彩研究、映像、メディアアートなどを専門とする大原崇嘉、古澤龍、柳川智之の3人からなるグループ。色彩・視覚伝達の研究の目的で2015年に結成され、17年からそれを応用した表現活動を始動する。

 3人は絵画などの画面上の色の相互作用(ヴァルール)を数理的に分析する手法によって得た知見を、実際の物理空間において視覚表現へと昇華させる試みを行う。その過程で、色の見えに付随してしまう物質性や定位性を消すための観賞構造や、照明の制御の仕方などの技術を開発、実践している。このようにして生み出されるヨフの視覚表現は、いずれもイメージの成立状況に働きかけ、視知覚に亀裂をもたらす構造を持つ。

 本展では、ヨフが19年から継続的に取り組んでいる絵画空間をテーマとした作品シリーズ「2D Painting」の新作を発表する。

 タイトルにある2Dとは、2つの空間(Depth)のこと。作品を構成しているのは三次元空間に配置されたオブジェクトでありながら、奥行き感を失わせる特殊な構造と照明色による色彩の対比効果によって、二次元イメージ(絵画的空間)としての認識の優位性が高まる。配色や視点に応じてそのバランスはつねに移ろい、鑑賞者は実際の三次元空間と、二次元の色彩によって喚起される絵画的空間、この2つ空間の横断を体験することになる。
 
 本展は「2D Painting」シリーズより、「Matière(マチエール)」に着目した新作4点で構成。マチエールが生み出す定位が、2つの空間の知覚的な矛盾を強固なものとし、見る者の内に新たな空間性を現出させる。