EXHIBITIONS

二藤建人 個展「私と世界を隔つもの」

2021.03.27 - 05.16

二藤建人 私と世界を隔つもののための習作 2021 素材提供=HUMOFIT by 三井化学株式会社 Photo by Ichiro Mishima

 現代では獲得しにくい「実感」を自ら体験するアーティスト、二藤建人(にとう・けんと)の個展「私と世界を隔つもの」がLEESAYAで開催される。

 二藤は1986年埼玉県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科を卒業後、東京藝術大学大学院彫刻専攻を修了。彫刻作品を起点としながら写真や映像、インスタレーションなど幅広い表現方法で作品制作に取り組む。また近年では、舞台美術のディレクションや自らもパフォーマンス公演に参加するなど、彫刻と身体表現の関係性を積極的に模索している。

 二藤は身体と世界の激しい触れ合いによって、体感し、実感を繰り返してきた。作品「Standpoint」(2011〜)では、なぜいま自分が地球に対して垂直に立っているのかという疑問から重力を可視化し、「雑巾男」(2011〜)では他者を理解するために全身を雑巾で包んで街を拭った。また「山頂の谷底に触れる」(2013)においては、安達太良山の山頂に命がけで埋まって掌のみを地表の晒すことで、物事の線引きを独自の角度から見つめ直した。そして「私の愛は私の重さである。— 森の家族—」(2015)では、重力という視点から人類の永遠のテーマ「愛」の再解釈を試みた。

 作家の素朴すぎる疑問は、誰も立ち止まらないような「当たり前」を受け入れないことから始まる。その疑問を解決し実感するためには、信じられない程の労力を必要とするが、二藤はわかったフリやおざなりにはしない。

 本展で二藤は、触れることのできない時代にあえて「接触」をキーワードとし、他者、ひいては世界との曖昧な境界やズレについて思いを巡らせる。人と人が触れ合う時、それぞれが別のものに触れているはずが、同じものに触れ合っているという無自覚な錯覚。「当たり前」に横たわる私とあなたの境目を、新作群によって可視化することを目指す。

※緊急事態宣言発出により、LEESAYAは4月26日〜5月11日まで臨時休業し、本展を5月12日〜16日に再開予定。最新情報は公式ウェブサイトへ。