EXHIBITIONS

「Mob World Reverb」 小松千倫、松田将英、スチュワート・バード、ライラ・ペリー

2021.03.27 - 04.25

小松千倫 Gesture(Tree Climbers) 2021

松田将英 #newmoon 2020 Photo by Hidemasa Miyake

スチュワート・バード Torn From The Valley 2021

ライラ・ペリー it’s cold outside 2019

 TALION GALLERYでアーティスト4組による展覧会「Mob World Reverb」が開催。本展では、実験音楽家でもありつつ、3DCGやペインティング、パフォーマンス、インスタレーションといった表現活動を行ってきた小松千倫、スチュワート・バード、ライラ・ペリーと、コミュニケーション(不)可能性の対象としての集合を作品制作のモチーフとしてきた松田将英が参加し、「Mob World Reverb」というエフェクターを通して、世界をもう一度制作可能な対象につくり変えることを試みる。

「Mob」は群衆、「World」は想像できる最大の単位、「Reverb」は反射によって減衰しつつ到来するエフェクトを指す。これらのワードはXYZ軸のようにそれぞれが別方向を向いており、ルービックキューブのように回転させることができる。例えばソーシャルメディアは「Mob Reverb World」のひとつで、無数の個別の声が半ば自動的に群性を帯びてしまうエフェクターとして浮かび上がる。いっぽうで「Reverb World Mob」は、そうした世界を個として生きるということと、その切実な実行を指し示す。

 本展は、こうした社会的、政治的、個人的にそれぞれ異なる条件や視野の角度を否応なく操作するエフェクターを、「Mob World Reverb」と呼称する。

 参加アーティストの小松千倫は1992年高知県生まれ。トラックメイカー/DJとしての活動と並行して、現代美術の領域でも作家活動や企画を行う。表現領域は音楽、映像、インスタレーションと多岐にわたり、インターネットカルチャーを背景にしつつ、街や自然、メディアや記憶の内外にある微細な現象や変化を重ね合わせることで、抽象的なイメージが固有のシーケンスへと転化していく作品制作を行っている。

 松田将英は1986年神奈川県生まれ。2010年よりソーシャルメディアをベースに様々な名義での活動を展開する。2017年より欧州を中心にインターネット社会における匿名性や集合知、アーティストの脱人物化を主題としたレクチャー・パフォーマンス、インスタレーションを多数発表。2019年より実名で活動している。

 スチュワート・バードは1990年カリフォルニア・パルアルト生まれ。「Brrd」の名前でも知られる実験的音楽家、多様なソフトウェアを用いるメディアアーティストでもあり、目的のない空虚なCG環境をテーマに映像作品や静止画、転写などを制作している。その作品は、現代における無益性への恐怖、動機とマインドフルネスの二重性、またすでに構築された環境への埋没や個々人がつくり出す現実性などを主題とする。

 ライラ・ペリーは1991年生まれ。クィアのトランスジェンダー女性であり、ロサンゼルス在住のデジタルシャーマンを自称する。宗教的経験や法悦の穿ちのひとつとしてのパレイドリア現象について研究。現在はビジュアルノベル「ARCHANGEL: NEMESIS」の開発スタジオ「TEAM ★ CPU」のディレクターも務める。