EXHIBITIONS

小清水漸「垂線」

2021.03.16 - 04.17

小清水漸 垂線 1969

 美術家・小清水漸の個展「垂線」が東京画廊+BTAPで開催されている。4月17日まで。

 小清水は1944年愛媛県生まれ。66〜71年まで多摩美術大学彫刻科に在籍し、60年代後半から木、石、紙、土、鉄などを用いて、素材間の関わりを重視した作品を制作。70年前後の「もの派」の中心的アーティストであり、ヴェネチア・ビエンナーレやサンパウロ・ビエンナーレをはじめ、国内外の展覧会で発表し活躍してきた。主な個展に、「小清水漸展 彫刻・現代・風土」(岐阜県美術館/愛媛県立美術館、1992)、「小清水漸教授退任記念展『重力 / 質量 / 作業』(京都市立芸術大学芸大ギャラリー・大学会館ホール、2010)。現在は京都と大阪を拠点に活動している。

 本展で展示されている《垂線》(1969)は、真鍮の分銅をピアノ線で吊った作品。小清水は、68年に「もの派」の起点となる関根伸夫の《位相―大地》の制作に立ち会い、翌年に自らの制作の姿勢、思考の原点に立ち返って同作品を制作した。

 小清水の《垂線》はただひたすら、床にある一点を指し示す分銅と、それを支える天井からの垂直線がそれぞれ、彫刻制作の原点と垂直軸を、目に見えるかたちで表現するものだ。本展では2015年に制作した、石を吊るした作品も展示している。

 なお本展は会期初日に作曲家の森円花を迎え、造形と音楽によるパフォーマンスを行った。森は「一柳慧コンテンポラリー賞」を最年少で受賞。18年に東京画廊+BTAPで開催した一柳慧、近藤高弘による2人展「消滅」をきっかけとして、作曲とパフォーマンスの企画が生まれた。

 今回の小清水と森とのコラボレーションは、天井から吊るされた分銅と床の接点から始まる新たな「生成」を目指すものだった。会期中には、3月13日のパフォーマンスの映像が上映され、森作曲の音楽とともに小清水の作品を鑑賞できる。