EXHIBITIONS

川内倫子展「M/E」

川内倫子 無題(シリーズ「M/E」より) 2019

 オープン1周年を迎えたMITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYで、国際的に活躍する写真家・川内倫子の個展「M/E」が開催されている。

 川内は1972年滋賀県生まれ。2001年に写真集『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞、第25回ICPインフィニティ・アワード芸術部門を受賞した。

 本展で発表する「M/E」は2019年に手がけた作品シリーズ。川内はアイスランドを訪れて撮影を行い、作品のタイトルには母なる大地を意味する「Mother Earth」の頭文字をつけた。

 阿蘇の野焼きを撮った「あめつち」(2013)、自身にとって遠い、宇宙的な被写体へと向き合った「Halo」(2017)の後、川内がさらなる遠い場所を求めて訪れたアイスランド。そこには地球の息吹を感じる間欠泉や、人間の持っている時間を遥かに超える氷河が存在していた。とりわけ休火山の内部に入ったときの体験が強く印象に残り、その火口内部で川内は、地球と自分自身が反転して一体化したような不思議な感覚を覚えたと言う。

 母なる大地である自然と、人間もまたその一部であるということ。「M/E」は、自然に対する畏敬と、自身が出産を体験したことによる変化から生まれた最新作となる。

 本展では「M/E」とともに、近年の「Halo」シリーズを展示することで、人間にとって遠いものと近いものが、見える/見えないの双方で存在しながら、入れ子状になるような世界観を紹介する。