EXHIBITIONS

Manami Uetake photo exhibition「Pixeillance」

2021.03.19 - 03.28

上竹真菜美 Pixeillance 2021

上竹真菜美 Pixeillance 2021

上竹真菜美 Pixeillance 2021

 上竹真菜美による写真展「Pixeillance」がEUREKAで開催。本展は、文学と音楽/美術/パフォーマンスをつなげる「ツカノマレーベル」の企画によるもの。

 上竹は1988年鹿児島県生まれ。父の転勤に伴い、10歳から福島に移住する。2015〜16年にロンドン芸術大学チェルシーカレッジMAファインアートでの交換留学を経て、18年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画を修了。現在は東京を拠点に活動している。主な展覧会に、「Imagining Something Unknown」(SomoS、ベルリン、2020)、「ゆるんだ遠近法」(gallery COEXIST-TOKYO、2017)などがある。「第17回写真『1_WALL』」(2017)ファイナリスト。

 こまきめぐみが代表を務める「ツカノマレーベル」は17年より、夢野久作や夏目漱石などの文学と、音楽/美術/パフォーマンスを融合させた企画を制作・開催。本展では、太宰治の短編小説『待つ』を導入とし、上竹によるスナップ作品の世界へと誘う構成となる。

 スナップ作品のタイトル「Pixeillance」は、「Pixel(画素)」に「Surveillance(監視)」を合わせた造語。東京、ソウル、台北、ベルリン、パリ、ロンドンなどの様々な都市でスマートフォンを使って影された同名シリーズは、できる限り被写体から離れ、最大ズームレベルで撮影しているのが特徴だ。

 いっぽう、今回題材とする太宰治『待つ』では、待ち望んでいるものが現れたときの「期待」と同時に、現れたときへの「恐怖」という複雑な精神状況が描かれており、待つことの虚しさのなかにあってなお、ただひたすら何かを待って暮らしているのが人間の生活ではないかという、太宰の結論に思いを馳せることができる。

 本企画では、上竹の「Pixeillance」を中心に据えつつも、太宰の『待つ』を導入とすることで、鑑賞者が作品を通して被写体を「見る者」であり、かつ「見られる者」であることを意識せざるを得ない鑑賞環境となることを目的とする。