EXHIBITIONS

芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師

2021.03.20 - 05.05

月岡芳年 芳年武者旡類 源牛若丸 熊坂長範 1883

 最後の浮世絵師・月岡芳年の全貌に迫る展覧会「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が、新潟県立万代島美術館で開催される。

 月岡芳年(つきおか・よしとし、1839〜92)は江戸に生まれ、12歳で歌川国芳に入門。社会制度や価値観などが大きく転換した幕末・明治の激動期に大衆の人気を集めた。

「血みどろ絵」「無惨絵」と呼ばれる初期のシリーズでよく知られる芳年だが、手がけたジャンルは武者絵、役者絵、怪奇絵、戦争画、美人画など多岐にわたる。芳年の作品を特徴づける斬新な構図、華麗な色彩、豊かな画面のドラマ性は、いまも多くの人を魅了してやまない。

 本展では、日本画家・西井正氣(にしい・まさき)の収集品より総数263点が集結し、時代順に4章構成で芳年の画業の紹介。初摺(しょずり)にこだわり、保存状態のよいものを集めた世界屈指の質・量を誇るコレクションから、素描や画稿、版木、肉筆画などもあわせて展示し、芳年芸術の秘密に迫る。

「血みどろ絵」については、流血の場面を集めた問題作《英名二十八衆句》の全28点(うち14点は、兄弟子・落合芳幾との競作)を一挙公開。現代のマンガ・アニメにも通じる斬新なデザイン感覚にあふれた「大判錦絵三枚続」「竪二枚続」などの迫力ある作品も見どころのひとつとなる。