EXHIBITIONS

高橋尚愛「This is Hisachika Takahashi」

2021.02.28 - 03.28

Courtesy of the artist and MISAKO & ROSEN

 高橋尚愛の個展「This is Hisachika Takahashi」がMISAKO & ROSENで開催中。高橋が1960~80年代にかけて取り組んだコラージュ、絵画、そしてコンセプチュアル/フォトグラフィックな記録を通して、作家の理解を深める試みである。

 高橋は1940年東京都生まれ。多摩美術大学で学び、現在はアメリカバーモント州とパリを拠点に制作・活動。コンテンポラリー・アート界の中心と周辺の両方に位置するという矛盾を孕んだ魅惑的な道のりを歩んできた。

 73年には、ニューヨークのホワイト・コラムの前身である「112ワークショップ」にて作品を展示。アーティスト活動に加えて高橋は、ロベルト・クリッパ、ルーチョ・フォンタナ、ロバート・ラウシェンバーグといった、歴史的アーティストのアシスタントを務めたほか、ゴードン・マッタ=クラーク、キャロル・グッデン、ティナ・ジルアールによるレストラン「フード」に料理人として参加し、様々なかたちで存在感を放ってきた。

 高橋よりずっと若い1978年生まれの奥村は、高橋とその作品を探究し、複数のプロジェクトを2013年から現在に至るまで発表。16年には、銀座メゾンエルメス フォーラムにて「奥村雄樹による高橋尚愛」展が開催され、ほぼ同時期にはニューヨークのショーン・ケリー・ギャラリーにおいて高橋の作品が展示された。またインターネット上では、カーネギー・インターナショナルの共同キュレーターだったダニエル・バウマンが高橋について議論を展開した。

 本展はこの流れに続くものとして、アーティスト本人の個人的なアーカイヴから厳選された作品を初公開。「高橋尚愛」というアーティストについて明かされてきた情報に新しい要素を加えるとともに、これまでコラボレーターとして関わってきたアーティストたちのより広範なボキャブラリーから隔絶された場所で(そして同時に内側において)、高橋のアーティストとしての位置をより良く理解するための文脈を生成する。