EXHIBITIONS

宮本武写真展「spectrum」

2021.03.14 - 03.27

© Takeshi Miyamoto

© Takeshi Miyamoto

© Takeshi Miyamoto

© Takeshi Miyamoto

© Takeshi Miyamoto

 パリを拠点とする写真家・宮本武の初作品集『spectrum』(torch press)の刊行記念展が、nidi galleryで開催される。

 宮本は1974年福岡県生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒業。幼少期から自己とは異なるものや異文化に興味を引かれ、アメリカ、香港、オーストラリアでの海外生活を経て、現在はフランスを拠点に活動中。異なる文化要素の果てには「普遍的で原初的な、美しい自然体が必ず存在する」という視点で、ジェンダーや自然をテーマに作品を手がけている。

 自身初となる写真集『spectrum』は、2011〜19年まで通った、アイスランドの大自然とその地に生まれ育った人々の記録。タイトルに冠した「spectrum(スペクトラム)」とは、 虹の七色のような光の成分を分解し連続的に並べたもの、もしくは二極の間にある、あいまいな境界を持つ連続したものを指す。

 同作品に至るまで、セクシャルマイノリティとして葛藤してきた宮本が、男性のポートレイト写真を通して、自身の心と対峙してきた長い道のりがある。その道の果てに、自然と人間に共通する強さと繊細さに導かれ、自身が探し求めた男性像のなかに、生来の美しさを見出していった。

 本展では『spectrum』の収録作品を一部展示。美しさとは何か、自分らしくあるとはどういうことか、人間と自然に通底するその根源的な問いへと向き合った宮本の意欲作を目に留めてほしい。

「人間が平等であるという考えは、自然に逆らうことなく一体となることが前提にあるのかもしれません。アイスランドの人たちは、自身の陽の部分と陰の部分を併せ持ち、そのままの姿を崩さずに生きている気がします。心の明るさも暗さもすべて受け入れる社会。そうした人々の心の奥深くに灯っている深みのある多様な光を写したいと思い、この作品を撮りました(宮本武)」。