EXHIBITIONS

まちがeる読み、iかれた挿し絵 中野裕介/パラモデル 2010-2020

メインビジュアル

Blue Diagram of Heterotopia(Plastic Moss) 2020 撮影=浜崎亮太

ぼくらのかたち 2017 撮影=櫻岡聡

よろめく少年のダイアグラム ̶「俊徳丸伝説」を題材にした能楽『弱法師』にもとづく 2012

 アートユニット「パラモデル」としても活動する中野裕介の個展「まちがeる読み、iかれた挿し絵」が、銀座 蔦屋書店内のアートウォールギャラリーで開催されている。3月14日まで。

 中野は1976年東大阪生まれ。2002年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画修了。01年に同大学の林泰彦と共同制作を開始する。03年よりユニット名を「パラモデル」とし、趣向の異なる2人の合流・触発のもと、メタフィジカルな「模型遊び」をテーマに多様な形式の作品を発表。プラレールやミニカーなど身近な玩具や日用品を用いたインスタレーションで、現実を仮想的な「遊び」の空間へと塗り替えてきた。造語「パラモデル」や玩具「プラレール」使用の発案、作品名「paramodelic-graffiti」「終わらない工事現場」など、中野が概念化し、拡張されたイメージも多い。

 中野の個人活動として、11〜17年までの図書館勤務を経て、「描画-テキスト-空間表現」を軸に、文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能などを横断する創作を続けている。17年より京都精華大学芸術学部特任准教授。

 本展は、中野のソロ作品集『まちがeる読み、iかれた挿し絵 中野裕介/パラモデル 2010-2020 Paradoxical Reading, Plastic Paratext - Yusuke Nakano / PARAMODEL 2010-2020』(⻘幻舎)の刊行に合わせて開催。会場では、中野が「メタフィジカルな図画工作」と語る、哲学的であり詩的な作品を、刊行された書籍とともに展示している。
 
 今年2月に刊行されたソロ作品集は、大規模な空間表現と並行して中野が制作を継続してきた、「文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能」などの古今の「書物」からの触発に基づく、「青焼き」による図面的描画やテキスト、絵画、立体作品などを中心に、2010~20年の活動を紹介。図書館勤務で深まった書物自体への興味、図像と言葉をめぐる往還を経て、「挿し絵の果て」で「遊」び続ける中野の、集積であり新たな創作の始まりでもある一冊となっている。